10年目にして悲願の優勝を成し遂げた!
アメリカン・モータースポーツのパイオニアとして、長年アメリカの地でレース活動を続けてきた服部茂章さん率いる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」が、NASCARキャンピングワールド・トラックシリーズ2018シーズン開幕2戦目にして優勝を果たした。
現在は、2008年に自らのチーム「Hattori Racing Enterprises(HRE)」を立ち上げ、チームオーナーとしてレースにかかわっている。2018年シーズンは、アイオワ州出身の25歳、Brett Moffitt(ブレット・モフィット)選手を起用しトヨタ・タンドラ「#16 AISIN Group TOYOTA TUNDRA」でキャンピングワールド・トラックシリーズにフル参戦。
2月16日に行われた開幕戦「NEXTERA ENERGY RESOURCES 250(デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ)」では、残り28周というところで他車とともにクラッシュし、リタイアという結果であった。
このウィークエンドのブレット選手のマシンは好調で、予選では10番手というポジションを獲得。5列目アウト側からのスタートとなった。一方、ポールポジションを獲得したのは、チームの若手ドライバーの代役として、自身のチームからブレット選手と同じトヨタ・タンドラで出場した#4カイル・ブッシュ選手。カイル選手は、このNASCARトラックシリーズでは49勝を挙げているベテランだ。
アメリカ東部時間の午後4時30分、グリーンフラッグで、第1ステージ(40周)がスタート。ブレット選手は序盤からプッシュを続け、徐々にポジションをアップ。4位まで順位を上げたところで第1ステージ終了。第2ステージでもさらにプッシュを続け2番手まで順位を上げ、50勝目をもくろむカイル選手の後ろにつけ、トップ争いを展開。しかし、ステージ終盤にはこのトラックシリーズ開幕戦を制した#21ジョニー・ソーター選手に抜かれ、3番手で第2ステージを終えた。
ピットでのタイヤ交換と給油、そしてマシンのアジャストを行って、最終ステージに臨んだブレット選手。いったんは順位を落としたものの、徐々にその順位を取り戻し、3番手まで上がったところでクラッシュによるイエローコーション! ここでレースはオーバータイムに。最終ステージの周回数が84周に延長され、リスタート後2周の争いとなった。ここで各車は新品タイヤを投入。アウト側2本交換するマシンも出てトップが入れ替わるが、ブレット選手は4本すべてを交換。このピットワークでトップを快走していたカイル選手は、ピットアウト後にタイヤが脱落し、勝負権を失った。
HREは、ついにNASCAR3大トップカテゴリーの1つを制することに成功した。服部茂章監督は、NASCAR史上初の日本人チームオーナーとして、この3大カテゴリーを優勝するという歴史的快挙を成し遂げたこととなる。
「2008年からは新たなチャレンジとして、自身のレースチームであるHREを立ち上げて11年間勝利に向けて努力を続けて来ました。しかし、やはりNASCARの上位3カテゴリーの壁は厚く、なかなか優勝をする事が出来ませんでした。その中にはレースドライバーという立場とは違い、チームのトップとしてアメリカ人と一緒に仕事をする上での難しさやNASCARという独特のアメリカ文化の中で、日本人として戦って行く上での準備に10年の歳月が必要だったのだと思います」
「優勝した直後から今まで応援していただいたスポンサーの皆さんやNASCAR本部の関係者、他のチームのメンバーからもたくさんのお祝いのメッセージを頂きました。この初優勝は自分とチームが目指す最終ゴールへの1つの通過点ですが、1人の力と努力だけでは到底達成できなかったことだと改めて再確認する事ができました。これで念願のNASCAR3大シリーズでの優勝は達成できましたので、次はシリーズ年間での総合優勝を目指してさらなる精進を重ねて行きたいと思います。これからも引き続き、応援よろしくお願い申し上げます」とコメントを残している。
ちなみにこのトラックシリーズ第2戦に参戦した日本人NASCARドライバー尾形明紀選手(#63 NISSHINBOシボレー・シルバラード)は、残念ながら予選23番手、決勝62周(30位)でレースを終えている。