二次災害の危険も! 勘違いが多い「自動車事故」時の対応

事故車の車内で電話連絡や動ける車両でも現場保存などは危険

 誰もが避けたい交通事故。しかし万が一、事故を起こしてしまったときでもドライバーには「直ちに車両等の運転を停止する」、「負傷者を救護する」、「道路の危険を防止する等必要な措置を講じる」、「警察に通報する」という4つの重大な義務がある。

 いずれも同時進行で対応しなければならないので大変だが、気が動転してついつい対応を間違ってしまうことも……。とくに大事なのがクルマを止める位置。上記の「直ちに車両等の運転を停止する」という原則に従って、事故後そのままその位置にクルマを止めてしまうドライバーがいるが、後続車との接触や、二次被害を防ぐためにハザードランプを点灯させ、可能な限り路肩に寄せて止めるのが重要。

 警察が来たときに、事故状況がわかるように、現場をそのままキープするというのは大間違いだ。発炎筒・停止表示器材で後続車に事故があることを伝えることも重要だが、本線や路肩を歩き回らないのが基本。ときどき事故を起こしたクルマに乗ったまま、警察や消防(救急車)、道路緊急ダイヤル『#9910』、関係者などに電話をしている人を見かけるが、車内で待機しているのは非常に危険。

 燃料漏れなどから事故車が火災を起こす可能性もあるし、後続車が事故に気がつかずに追突してくるケースもあるので、ドライバーだけでなく全員が、ガードレールの外など安全な場所へすみやかに避難して、警察や救急車の到着を待つようにしよう。

 その他にもよくある失敗例は、警察に通報しないで当事者同士でその場で解決しようとするケース。時間がない、大事(おおやけ)にしたくない、家族に知られたくない、免許の点数が厳しい、保険を使いたくないなど理由はいろいろあるのだろうが、小さな事故でも前記のように警察に届けるのはドライバーの義務。 

 その場で示談にしたり念書を書いたり、現金を払ったりしても法的にはほとんど拘束力がなく、被害者があとから追加請求をしてきて、トラブルになることも。また話がこじれてから警察を呼んでも、報告義務違反を問われるし、かといって警察に届けない限りは保険会社にも請求できない。

 事故を起こしたら必ず警察に報告し、保険会社にも早めに連絡を入れること。保険会社に相談したり、保険会社に動いてもらっても保険料の支払いがなければ翌年の等級は変わらないので、迷わず保険会社にも連絡を。

 また加害者になったとしても、過度に謝る必要はなく(常識的な範囲での謝罪やお見舞いなどは重要)、保証に関しては「すべて保険会社と相談のうえ」と答えておくことが大事だ。もちろん、相手方の連絡先を確認したり、デジカメやスマホの録音機能、ICレコーダーなどを使って事故現場の記録を取っておくのも非常に有効。

 目撃者などがいたら証言をもらって、連絡先を聞いておくと役に立つ。最後に、自分自身もきちんと医師の診断を受けておくこと。その場では自覚症状がなくても、翌日や数日経ってから違和感や痛みを感じることがあるので、目立った外傷がなくても病院に行くことを忘れずに。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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