自動車メーカーも積極的にアピールする安全指標「JNCAP」とは

自動車事故対策機構が行う自動車の安全度評価のこと

 自動車の衝突安全性や、自動ブレーキなどの予防安全装備の違いなどを公平に評価しているのがJNCAP(Japan New Car Assessment Program)です。特定のメーカーに影響を受けない、独立行政法人 自動車事故対策機構により実車を使った衝突試験などが行われています。安全性能

 Jはジャパン(日本)を示すのは自明ですが、「NCAP」を日本語にすると自動車アセスメントとなります。その目的を、自動車事故対策機構のホームページでは次のように紹介しています。

「自動車ユーザーの安全な車選びをしやすい環境を整えるとともに、自動車メーカーのより安全な自動車の開発を促進することによって、安全な自動車の普及を促進しようとするものです」。

 JNCAPがはじまった当初は、真正面からの衝突試験だけでしたが、現在は側面衝突や、障害物に対して車両の一部だけが当たるオフセット衝突なども試験。ほかの地域で行われているNCAP(自動車アセスメント)と同等の条件で、衝突安全性能の総合評価をしています。ちなみに、欧州での自動車アセスメントはユーロNCAP、南米ではラテンNCAPと呼ばれています。

 いずれにしても「自動車アセスメント」の目的は、ユーザーが安全なクルマ選びをしやすいよう安全性能について公平に情報を示すことにあります。また、こうした試験を行うことで自動車メーカーにとっては、より安全なクルマを開発しようというインセンティブになり、相乗効果で安全なクルマが増えていくというわけです。

 現在のJNCAPは衝突試験だけでなく、チャイルドシートの性能を確認するアセスメントも実施。そのほか、ハイブリッドカーなど電動車両が増えてきたことに対して、衝突後の感電保護性能評価も実施しています。

 ここ最近のトピックスとしては、2014年度から始まった予防安全性能評価が挙げられるでしょう。AEBS(衝突被害軽減制動制御装置)の試験では対車両、対歩行者でそれぞれ速度を変えて試験しています。さらに車線逸脱抑制装置についても評価、その結果を公表しています。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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