ふんわりアクセルでの加速はクルマ単体で理想的な条件下なら有効
燃費というのは交通状況によって、まったく違った答えが出てきます。よく「カタログ燃費なんて、実燃費と乖離(かいり)していて意味がない」みたいな意見もありますが、その意見が完全に間違っています。燃費というのは効率ではないのです。だから答えみたいなものはないし、機械がそれを保証することができません。あくまでドライバーが運用した結果に過ぎないのです。
カタログ燃費というのは、そうした運転の傾向について反映できるように考えられた係数のようなものであって、他車と相対的に比較する意味はあっても、燃費の値そのものを鵜呑みにしようとする考え自体、ある意味間違っています。
たとえば進行方向に路上駐車があり、通り抜けるのがギリギリな場合、アクセルを緩めますね。その行為自体が燃費を悪くします。しかしカタログ燃費のなかに、路上駐車を盛り込むことはできませんね。道路工事で止まることだって、暴走すり抜けをしてくるバイクを避けることだって、歩道に居る超セクシーな服装の美女や超イケメンに一瞬目を奪われてアクセルを緩めることだって、カタログ燃費に盛り込むことはできないのです。そうした燃費を悪化させる操作を、ドライバーは無意識にやってしまっていますね。
交通状況に左右されるので、お役所が推奨している「ふんわりアクセル」も、有効な環境と無効な環境が存在します。有効な環境のほうがレアなのですが、(1)信号が細かく設置されている、(2)後続車がいない、という状況です。
具体的にいえば、夜中の都市部みたいなところでしょうか。もし後続車が居れば、そのクルマの燃費を悪化させる可能性もあります。昼間の交通量の多いときには確実に道路の交通容量を低下させる、つまり平均速度を低下させ、交通渋滞の原因になります。つまり都市部の一般的なケースでは、「ふんわりアクセル」は完全なアンチ・エコドライブなのです。