一台で快適なファストバックと刺激的なスパイダーが味わえる
フェラーリのV8モデルとして最初に登場した308GT4(当初はDinoブランド)から数えること45年を経て日本に上陸したのが、Ferrari Portfino(ポルトフィーノ=イタリアで最も美しい街・ポルトフィーニにちなんだ名称)だ。
2017年9月に行われたフランクフルト国際モーターショーで発表されたポルトフィーノは、流麗なファストバックのクーペフォルムを採用。電動リトラクタブル・ハードトップにより、ラグジュアリーでエレガントなトップボスパイダーボディにもなる多用途性を併せ持つ理想の新型2+2のGTカーに仕立てられている。
2016〜2017年に2年連続で「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を獲得した3855ccのV8ツインターボエンジンは、ゼロ・ターボラグの優れたスロットルレスポンスや従来型からのさらなる出力向上、これに背反する燃費性能や排出ガスの改善をすべてクリアにして441kW(600馬力)/7500rpm、0〜100km/h加速で3.5秒という性能を達成している。
またスタイリッシュなファストバック・クーペは、細かな空力の見直しや冷却効率の見直しなどによりエアロダイナミクス効率に対し大幅な貢献をしている。空力性能の追求で悩みどころのドラッグ低減を成し遂げ、Cd値で0.312と旧型モデルに比べ6%もの向上に成功している。さらに低速走行中にはボタンひとつで14秒後には快適なベルリネッタ(クローズド)ボディから、刺激的なスパイダー(オープン)ボディに変容も可能だ。
しかもこのボディ製造は革新的で軽量な製造技術が導入され、一体成型コンポーネントが可能になったほか電子機器、エンジン、エクステリアなどさまざまなコンポーネントを見直したおかげで、前モデルのカリフォルニアTに比べて80kgもの軽量化に成功している。0〜100km/h加速3.5秒ながら、広いトランクと後席の+2シートが使える快適性を融合させている。
コンバーチブル(オープン)ボディを持つフェラーリとして史上もっとも刺激的に仕上がったポルトフィーノだが、フェラーリが独自に開発した、選択するギヤに合わせてトルク伝達量を最適化するバリアブル・ブースト・マネージメントで、燃費の向上や排出ガスの低減。さらには力強くシームレスな加速フィーリングを提供してくれる。
ビークルダイナミクスの最適化を図り、基本的なランニングギヤやコンポーネント、電子制御システムもブラッシュアップされている。サスペンションの設定はフロント15.5%、リヤ19%アップされたスプリング硬度と、最適な乗り心地をパッセンジャーに提供してくれる最新マグナライド・ダンピングシステム(SC−E)の組み合わせで車体コントロールが改善され、ロールが抑えられる味付けとなった。とくにドライビングモードを選べる制御システム「マネッティーノ」を“Sport”モードにした際はよりスポーティなドライビングフィールに、“Comfort”モードでは荒れた路面での乗り心地が改善されている。
また第三世代電子リヤ・デファレンシャル(E-Diff3)と、電動パワーステアリング(EPS)の統合機能で横方向の限界性能を向上させている。さらに、F1-Tracトラクションコントロールを組み合わせた統合制御によって、コーナー進入時ならびに加速しながらのコーナリング脱出時の姿勢安定性も改善が図られている。
静的、動的含めてすべての性能向上が図られた最新フェラーリの傑作モデルともいえるポルトフィーノは、2530万円〜(税込)となっている。一台で快適なベルリネッタボディから、開放感溢れるスパイダーボディを味わえ、エレガントかつ刺激的な600馬力を堪能できる超性能なGTモデルにもなるフェラーリ・ポルトフィーノ。その何通りもの使い勝手からすると、バーゲンプライスなのかもしれない。