2リッターディーゼルを追加して選べるパワーユニットが3種類に
フォルクス ワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は、現状日本のライアンアップ唯一となるディーゼルエンジン搭載モデル「パサート TDI」「パサートヴァリアント TDI」を発売した。
日本では乗用ディーゼルエンジン搭載車の市場が、2012年以降拡大していて、2017年の輸入車販売台数の2割以上をディーゼル車が占めているという。今回のパサートTDI導入はその需要拡大を受けて決定したものだ。
このTDI導入により、パサートシリーズは、TSI(ガソリンエンジンモデル)、GTE(プラグインハイブリッドモデル)と、3つのパワートレインが選択可能になった。
それではTDIについて見ていこう。搭載されるエンジンは直列4気筒2リッターディーゼルターボだ。最高出力190馬力、最大トルクは400N・mで、この大きなトルクは1900rpm〜3300rpmと、低回転域で発生するため、発進から巡航まで、日本で使用する領域全体で力強い加速を見せることは想像に難くない。
さらに燃費はJC08モードで20.6km/L。この良好な燃費に加えて、ご存じのとおり日本ではガソリンに比べて軽油が大幅に安いため、経済性もかなり期待できるだろう。
もうひとつ加えておきたいのがタンク容量。59リットルの燃料タンクを積むため、仮にカタログ燃費の7割という実燃費だったとしても、満タンからの航続距離は850kmにも達する。東京から広島あたりまで、途中給油なしで走行できるのはストレスを大幅に減らしてくれる。
パサートに搭載されるTDIは、フォルクスワーゲンが生産の効率化を図るために採用している「MQB」に基づいて開発した「MDB(モジュラー ディーゼルエンジン システム」の基幹ユニットだ。MQBもMDBもドイツ語の頭文字であるが、MQBとは、簡単にいえば、シャシーを中心にモジュール化し、それを利用して色々な車種を作ることを示す。一車種一車種をそれぞれ開発するよりも開発コストが抑えられ、生産コストも軽減できる。また、同一の最新技術が投入しやすいといったメリットもある。
ディーゼルといえば環境性能が重要視されるが、当然このTDIは世界的にも厳しい日本のポスト新長期規制をクリアしている。導入されている技術としては、以下のものが挙げられる。
・コモンレール式燃料噴射システム:約2000barの高圧で燃料を筒内に噴射するシステム。細かく分割して噴射を行うことも可能
・DPFフィルター:排気管内に設けるフィルターで、PM(粒子状物質)を除去する
・尿素SCRシステム:尿素水溶液を排ガスに噴射して尿素からアンモニアを生成、アンモニアと有害なNOx(窒素酸化物)を化学反応させて、窒素と水に還元するシステム。尿素水溶液タンクは13リットルで、走行1000kmで約1.5リットルの尿素水溶液を使用。
・EGRシステム:燃焼室の温度が上がると有害なNOx(窒素酸化物)の発生が増加するため、排ガスを再び燃焼室に送り込むことで、燃焼室の温度を下げる仕組み。TDIにはEGRクーラーも装備している。
このほか、ターボチャージャーに稼働式ガイドベーンを採用し、低回転では開口面積を小さくして排気の流速を上げて過給効率を高め、高回転では開口面積を大きくして抵抗を減らして排気圧力を低下、損失を減らす仕組みも装備される。
このように、環境性能、経済性、ディーゼルならではの大トルクがもたらす走行性能など、期待の大きいパサート TDI。そのほかの装備も簡単に紹介しよう。
安全、運転支援システムとしては、60km/h以下で走行中に、前走車と一定の距離を保つようにアクセルとブレーキを自動制御し、さらに車線内にクルマをとどめるようにハンドルもアシストする「渋滞時追従支援システム」を搭載。
さらに、全速度域で前走車との距離を検知し、衝突の危険があると警告音と警告灯でドライバーに知らせ、その後ブレーキの断続的な作動で車体を振動、それでも回避行動が取られないと、自動ブレーキで衝突の被害を軽減する「プリクラッシュブレーキシステム(歩行者検知対応)」を装備する。また、こちらは45km/h以下の場合は歩行者を検知して衝突を回避、被害軽減も行う。
さらに、「アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付)」、「レーンキープアシストシステム」、「レーンチェンジアシストシステム」などが標準装備される。
満を持して投入されるパサート TDI、パサート ヴァリアント TDI。それぞれ2グレードずつの展開で、価格は422万9000円から509万9000円となる。試乗でき次第、WEB CARTOPでリポートする予定なので、楽しみに待ってほしい。