今どきスタイルのイケてる小型モデルが多い
2018年2月9日より、インド・デリー近郊のノイダというところにある、「INDIA EXPO MART&CENTRE」において、「デリーオートエキスポ2018(以下デリーショー)」の一般公開が始まった。それに先立ち、7日・8日はメディアデーが開催された。
今回はそのデリーショー会場で見かけた、筆者の独断と偏見による、「日本で販売しても人気が出そうなモデル」のベスト3をお伝えしよう。ただし今回は日系ブランドに絞り、なおかつ3ボックスセダンが大好きな筆者が選んだので、少々偏っているように見えてもご容赦願いたい。
第3位:ホンダ アメイズ
インドには全長4メートル以下で排気量1.2リッター以下の車種に対して税制上の優遇措置がある。そのため少々不格好ながら、各メーカーともにセダン好きなインドの消費者向けに全長が4メートルに収まる全長で、なおかつ独立したトランクを持つ「4メーターセダン」をラインアップして、人気を博している。
アメイズは今回のデリーショーで2代目となる新型をワールドプレミアした。ホンダの最新トレンドともいえるフロントフェイスを採用。先代に比べると不格好さは影を潜め、セダンの最新トレンドである“ファストバック風スタイル”を採用し、非常にまとまりの良さを見せている。フィット・アリアの再来のように日本に上陸すれば、「シビックはちょっと大きいなあ」という消費者の囲い込みもできそうだ。
第2位:スズキDZIRE
このクルマは見た目どおり、「スイフトセダン」である。インドでの4メーターセダンの先駆者とされており、このカテゴリーを人気ジャンルにした立役者ともされている。先代まではアメイズなどと同じく、取ってつけたようなトランクがアンバランスに見えたが、現行型はすっきりとしたセダンボディになっている。
もともと現行スイフトは全幅を拡大した3ナンバーサイズでのデザインが基本なので(ちょっとだけワイドボディ/5ナンバーサイズの日本が特別)、エクステリアも先代よりも安定感が増し、セダンとしてのスタイルもまとまりの良さを見せているようだ。見た目の質感もかなり向上している。
第1位:ホンダWR-V
デリーショーのメディアデー開幕2日前に現地入りし街なかを歩いていると、どう見てもフィットベースの「なんちゃってクロスオーバーSUV」のようなクルマを頻繁に見かけた。車名は「WR-V」。調べてみると2016年のサンパウロモーターショーでワールドプレミアされたモデルで、インドでは2017年3月より販売が開始され、大人気となっているとのこと。
日本市場ではフィットの販売が今ひとつ盛り上がりを見せていない。そのなか、派生車種として、“フィットWR-V”などと、フィットの派生モデルとして発売すれば、日本でも大人気間違いなしというような気がする。
スズキがクロスビーなどをラインアップしていることからも、ホンダのなかではヴェゼルの弟格のようなモデルがあれば、CR-Vも近々日本市場で復活するようだし、相乗効果でホンダSUV全体の販売台数を押し上げるような気がする。
セダン好きだからセダンばっかり入ってしまったのかと思うだろうが、今日本のセダン好きは行き場を失っている。どのメーカーでも選択肢が極端に少ないのである。しかも多くのモデルは3ナンバーサイズでしかも全幅が1800㎜に近い。5ナンバーサイズのセダンといえば、カローラ・アクシオとグレイスぐらい。
今さら5ナンバーサイズにこだわるつもりもないが、やはり全幅は1750㎜以内で限りなく1700㎜に近いほうが個人的には望ましいと考える。日本では「セダンは実用性に欠ける」などという話を聞くが、日系以外の外資系ブランドのセダンの多くは、後席ドアの開口面積が広かったり、後席シートバックを倒すと長尺ものでもなんなく積載できるトランクスルー機構を標準採用するケースが多い。日本仕様にはなくて海外仕様のみトランクスルー機構を設定している日系ブランド車も多い。
南カリフォルニアなどでは、若いお兄さんたちがカムリクラスのセダンの屋根にサーフボードを載せてサーフィンに行くシーンにもよく出くわす。日本でも子供のころから家族のクルマがミニバンという環境のなかで育ってきた若者が、見慣れないセダンに強い愛着を持つことも多いと聞いている。
「スライドドアで、3列シート、しかも背が高くないと実用性に欠ける」というのもわからなくもないが、だからといってセダン好きから選択肢をなくしてしまうかのようなラインアップの縮小もいかがなものであろうか。
わざわざ日本人向けのセダンを開発するには、各メーカーとも「お金、ひと、時間」が足りないだろうから、インドは左側通行で右ハンドルの国(だからといって日本仕様が簡単にできるというわけでもないようだが)。インドから完成車を持ち込んで、輸入販売してみてはいかがだろうか? 価格設定次第では日本でくすぶっている、コンパクトセダン需要を掘り起こすことにつながるかもしれない。
最後にヴェゼルは食われてしまうかもしれないが、WR-Vはかなりの確率で日本でもヒットを予感させるクルマであり、一部の報道では国内導入を検討しているとの情報も流れている。ホンダが国内投入を決断するか見ものである。