【試乗】スポーツカー顔負けの強烈加速のV6ターボ! レクサスLS500は自ら運転すべきクルマ (2/3ページ)

大柄ボディでも意のままに操れるF SPORTの走り

先代に対して全高を15mm、エンジンフードを30mm低め、またドライバーの着座位置を53mm後方車体中央寄りに後退させ、30mm低めたパッケージングもまさに走り最優先のドライバーズカーとしての攻めのパッケージングと言っていい。

レクサスLS500

となると、着座位置が低すぎてVIPの後席乗降に苦情が出そうだが、さにあらず。レクサス初の乗降モード付き電子制御エアサスの乗降モードによって約4秒で車高が30mm上がり、後席の着座位置が10mm低まっても乗降性は先代同等だというのだ。 レクサスLS500走りに効く徹底した低重心化はV6ツインターボエンジンにも貫かれ、ターボをエンジン本体の両脇に抱えるレイアウトを採用。ちなみに主要市場である北米では今でも先代LSに用意されていたV8神話が根付いているが、今回は潔く無視。環境性能を重視してV6ツインターボエンジンの新採用に踏み切ったのだという。レクサスLS500

結果、422馬力、600N・m(!)ものパワー、トルクを発生しつつ、後輪駆動(FR)で10.2km/Lという燃費性能を実現している(AWDは9.5〜9.8km/L)。 LS500の後輪駆動は富士スピードウェイの「F」を冠した1200万円のF SPORTで試乗したが、まずはなるほど、LSならではの静粛性やショーファーカーとしての乗り心地というより、スポーティークーペを思わせる低く着座する運転姿勢、先代とは決別したかのような動的質感、ジェントルながらツインターボ、422馬力の強烈な加速力に圧倒されることになった。レクサスLS500

ステアリングはまさに意のままの応答性を示し、エアーサスペンションはフラットかつ走行に合わせた制御で安定、いや、ファンな操縦性をスポーツサルーン的な快適性を伴って支えてくれる。10速ATの巧みな制御の良さもあり、まさしくスッと走りスッと加速し気持ち良く変速、スッと曲りスッと収まる、の妙味である。レクサスLS500

ちょっと手の届きにくい位置にあると個人的には思えるドライブモードスイッチはエコ/ノーマル/スポーツ/スポーツ+が選択できるが、スポーツ+にロックオンすればスポーツ度はMAXに達して乗り心地が引き締まり、エンジン、10速AT制御が一段とスポーティーに変化。エンジンを高回転まで回せば、迫力と心地良さの絶妙なバランスある快音をとどろかす。パワーステアリングもシャープさを増し、それこそ“曲がりすぎるほど曲がる”ようになる。レクサスLS500

逆に外側にふくらむような挙動はF SPORT用に特別に制御されたVDIM+LDH(アクティブステアリング総合制御+アクティブスタビライザー)が断じて許そうとはしないのだが、「おーっ、切りすぎた」とステアリングを戻す場面があるにはあった。スポーツ+はクルマと格闘するような硬派な操縦性に変貌する玄人向け!? のモードと言えるかもしれない。レクサスLS500

20インチタイヤを履いていても乗り心地は洗練されたものだが、LSでそうした運転をするユーザーがいるのか? という疑問はないでもない。とにかくドライバーズカー一直線なのが新型LS、とくにもっともスポーティーなグレード=F SPORTと言ってよさそうだ。先代までの価値観でLSらしく乗るならドライブモードはノーマルがベターだろう(あるいは19インチタイヤを履く標準グレードを選択する)。レクサスLS500

だからLS本来の静かさや乗り心地の良さが体に染み込むような印象は、初代ほどではなかったのも事実。走行性能の目指す方向性が(LC寄りというだけあって)けっこう違うのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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