スタッドレス装着のハイエースや小型トラックが雪道で多数スタックした理由とは

空荷の小型貨物車はとくにスタックしやすい

ハイエースなどの小型貨物車が、乗用車に比べて雪道に弱いことを露呈してしまった、先日の都心部を襲った大雪。スタックしているワンボックスや小型トラックなどを多数見かけた。もちろんそれにはきちんとした理由があり、それを理解すればそうしたトラブルを防ぐことができる。

 当然ながらノーマルタイヤでの走行はあり得ない話だ。今回取り上げるのは、スタッドレスタイヤを装着しているにもかかわらず、走行不能に陥った小型貨物車の対策。なぜスタッドレスタイヤを装着しているのに雪道でスタックする車両が多いのか? まずは積載量の問題だ。

 1000kg程度の積載を可能とする小型貨物車は、専用の設計が施されている。ハイエースでは最大積載量が1000kg又は1250kgが一般的だ。これは、荷室に20人前後が乗っている重さにも匹敵する(1人あたり55kg基準)。

 ただ、つねに積載量の上限で荷物を積むとは限らないが、車両の設計上はそれで大丈夫なように考えられている。小型貨物車のタイヤの空気圧はあまり気にすることないと思うが、それだけの荷物を荷室に積む可能性があるために、後輪が高めに設定されている車種が多い。軽自動車の貨物車も同様だ。

 しかし、あくまでも満載に対応した数値なので、空荷の状態で雪道を走行するとグリップせず、スタックする可能性が大きくなる、というわけだ。だから空荷に近い状態で雪道を走行する場合は、タイヤの空気圧を下げ、タイヤと路面の摩擦を上げるという方法が有効になる。

 ただ、どのくらい下げればいいか明確な数値はないが、高速などを走行せず、雪道ゆえに速度が低いことを考えれば、半分程度下げても大丈夫。外から見てタイヤの潰れ具合で空気圧が減ってるな、とわかるレベルだ。

 当たり前のことだが、空気圧を下げる方法は空気を抜くこと。ホイールのバルブキャップを外し、なかのバルブコアの中心を押すと空気は抜ける。ペン先など使うと良いだろう。

 ただしここで注意点がある。多くの人はコンプレッサーなどを積んでいないため、空気を抜きすぎると入れるのはガソリンスタンドやディーラーなどでしかできない。だからタイヤのつぶれ具合を見ながら少しずつ実践してほしい。

 先ほど高速走行を行わず、雪道でゆっくり走行することを前提とした対策と述べたが、もちろん荷物が満載のときもオススメできないので注意が必要だ。

 ほかにも雪道でスタックした際は、空転したタイヤの下にフロアマットを敷いて脱出する方法など、普通車でのノウハウも憶えておき、万全の雪道対策をしてほしい。


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