止まっていても詰めすぎはリスクが大きい
走行中の車間距離については、以前WEB CARTOPでも『前走車から2秒~3秒間分の車間距離を確保するのが、安全で現実的な数字』と紹介したことがある。では、信号待ちや渋滞などでクルマが停まっているときの車間距離=「停止車間距離」は、どのぐらいが適当なのか?
近づきすぎると、前のクルマが上り坂などで後退してきたり、エンストしたり、何らかの理由で発進しかかったあと、急停止したときなどに追突する可能性がある(じつは、こうした発進時の追突事故は意外に多い)。また、タクシーなどが急にハザードランプを点滅して停車したときも、それを回避できるだけのクリアランスは欲しいので、あまり接近しすぎるのはよろしくない。
一方、間隔を開けすぎても、都市部では「無駄にスペースを空けるな」「渋滞の原因」とヒンシュクを買うだろうし、道路脇の駐車場などから道路に出ようと思っている人などからすれば、「あのクルマがもう少し詰めれば、道に出られるのに!」と思われるかもしれない。また、後ろから走ってきたクルマからすると、ほかのクルマより広めの車間を空けて止まろうとすると、「えっ、何でこんなに手前で止まるの?」と戸惑うことにもなるだろう。
安全だけを優先すれば、クルマ1台分ぐらいのスペースを開けるのがベターだろうが、少なくとも街中ではあまり現実的ではない。乗用車なら、前のクルマがのリアバンパーの下端が、運転席から見えるぐらいの距離で止まるのがひとつの基本と考えていい。
ただし、高速道路の渋滞の最後尾で止まるときは、後続車が渋滞に気がつくのに遅れたときのことを考えて、クルマ2〜3台分ぐらいの間隔を空けて止まったほうが安全。自車の後ろに列ができ始めて渋滞の中で止まるときは、前記の基本的な停止車間距離に戻ればいい。
そのほか雨天や雪の日などは、晴天時より停止車間距離を広く取っておこう。というわけで、停止車間距離は状況に応じて、わりと臨機応変に調節するのが大切。大型車やワンボックス車など背の高いクルマは、同じ停止車間距離でも前車にプレッシャーがかかりやすいので、乗用車以上に意識して、停止車間距離を広くとるように心がけよう。