ワイヤー式の場合は凍り付いて解除できなくなることがある
駐車する時にパーキングブレーキを作動させるのは、ごく常識的なことですね。クルマを離れたあとに、自然に動き出してしまったら、どこかに衝突するまで停まらないわけですから、何らかの事故を引き起こすことになってしまいます。
ただ最近は、オートマチックトランスミッション車(AT車)の場合、Pレンジに入れてパーキングブレーキは使わない、という人も増えているように思います。あのPレンジというのは、トランスミッションの駐車時のポジションであって、クルマの駐車用ポジションではないんです。ブレーキ力も小さいので、坂道などでは効果がない、またトランスミッションが破損する可能性もあります。
寒い時期、雪国では駐車時にパーキングブレーキを使わない、というのは本当です。パーキングブレーキはワイヤーでブレーキを作動させる構造になっていて、そのワイヤー部分はフロアの下に露出しています。ワイヤー自体やリンク機構などに雪が付着し、それが凍りついてしまう可能性があります。
フロアの下には排気管も通っていて、そうした熱で付着した雪を氷にしてしまうわけです。完全に融けてしまえば問題ないんですが、中途半端に融けるのと氷になってしまうのです。それで翌朝、クルマで出かけようとするとパーキングブレーキが解除できない! というトラブルになるのです。
そんなわけで、駐車時にはパーキングブレーキを使わないんですね。MTであれば1速か、リバースに、ATなどではPレンジに入れて駐車します。
坂道の時はどうするか? それは輪留めをするしかないですね。そもそも雪が覆っている道路ではタイヤのグリップ力そのものが低いので、坂道ではパーキングブレーキも信用できません。使用する輪留めは、東京の宅配業者が使っているようなシンプルなゴム製のものではなく、防寒靴のように金属製のツメが付いていて、それを路面に食い込ませ、先に輪留めを固定して使用します。
ただ最近は電気式パーキングブレーキが一般的になってきました。電気式はワイヤーを使いません。大型車ではパーキングブレーキに直接電動ユニットが装着されていたり、小型車では既存のESCユニットを使うシステムもあります。
いずれにしても氷が付着して動かなくなることはないので、そういう心配はなくなっています。ただし、中にはワイヤー式のパーギングブレーキをそのまま使い、電気スイッチと作動ユニットによって見かけだけ電気式ブレーキのモデルもあるので、注意が必要です。