スズキが圧倒的な強さを見せつける結果に
燃費の良し悪しだけでクルマを選ぶなんて愚の骨頂、と昨今の燃費競走にうんざりしている人も多いかと思うが、それでもやっぱり燃費が良いに越したことはないというのは紛れもない事実。
そこで今回は経済性に秀でている軽自動車の中でも燃費の良いモデルをランキング形式でご紹介したい。言うまでもなく実燃費は走る環境やドライバーによって大きく異なるため、同一条件で計測されている(ハズの)JC08モード燃費の数値で順位を付けることにしている。
1位:スズキ・アルト セダン Fを除く全グレード 2WD CVT:
37.0km/L
ハイブリッド機構を持たない車両としては驚異的な37.0km/Lという数値を叩き出したのは、スズキのベーシックカーであるアルトのセダン(乗用)モデル。この数値はトヨタのハイブリッドカー、アクアの量販グレード「S」の34.4km/Lやノート e-POWER Xの34.0km/Lを大きく超える数値となる。
これは、エンジンやミッションの効率を上げるという地道な努力が影響していることは間違いないが、それ以上に効いているのが、HEARTECT(ハーテクト)と呼ばれる新プラットフォームを採用し、当該グレードで650kgという驚異的な軽量ボディを実現しているところが大きいだろう。
2位:スズキ・アルトラパン Gを除く全グレード 2WD CVT:35.6km/L
2位に輝いたのは、1位のアルトのコンポーネンツを流用して、ファニーな内外装を組み合わせたアルトラパンだ。先代モデルの購買層が若い女性が中心だったことを踏まえ、女性ワーキンググループが携わって誕生した3代目アルトラパンは、遊び心溢れるデザインに仕上がっている。
その結果、アルトに比べてフロントウインドウが立てられ、車両重量が30kgほど増加してしまっているが、それでもアルトのー1.4km/Lに抑えているのはさすがといったところ。
3位:ダイハツ・ミライース L“SA III” 2WD CVT 他(OEM車含む) :35.2km/L
スズキ一族に割って入ったのは、ダイハツ軍のミライース。先代モデルではライバルとなるアルトエコ(先代アルトの低燃費仕様車)と燃費でしのぎを削っていたが、2代目となった現行モデルではむやみな燃費競走からは一歩引いて、先代最終型と同じ35.2km/Lに落ち着いている。
その代わり、「安心・安全」に使用できる「+αの魅力」を追求し、安全装備の「スマアシIII」の採用や、走りの質感の向上など、数値に見えない部分でのレベルアップを果たしたということで、低燃費車の新たな価値を創造しようとした意欲作と言えそうだ。
4位:スズキ・ワゴンRシリーズ HYBRID FZ 2WD CVT 他(OEM車含む):33.4km/L
4位にランクインしたのは、アルトやラパンと同じく新規プラットフォームを採用して生まれ変わった6代目となるワゴンR。中でも33.4km/Lの数値をマークしたのは、先代で採用されたS-エネチャージを発展させたハイブリッドモデルのHYBRID FZとHYBRID FX、そしてスティングレーのHYBRID Xの3グレードだ。
さすがに120kg増加した車重と、明らかに空気抵抗的に不利なハイト系ワゴンのシルエットでは、ハイブリッド化してもこの数値が限界というところだろうか。ちなみにHYBRID FXよりも20kgも軽いがハイブリッドシステムを持たないFAのCVTでの数値は26.8km/Lと大きく下がってしまう。やはりハイブリッドシステムは偉大なのである。
5位:スズキ・ハスラー X/G 2WD CVT(OEM車含む):32.0km/L
紹介する最後のモデルとなる第5位もスズキの車両がランクイン。5台中4台がスズキ車という、燃費の面ではスズキ無双と言えるところだろう。ハスラーは前述の3台とは異なり、一つ昔の5代目ワゴンRのプラットフォームをベースとしているため、デビュー当初は最も低燃費なグレードでも29.2km/Lという数値だったが、2015年5月の一部改良でエネチャージからS-エネチャージへと改良されたことで32.0km/Lへと大幅に燃費が改善された。
トップ5の中では圧倒的に空力的に不利なクロスオーバーSUVスタイルにもかかわらず、この数値を叩き出すのはさすがスズキと言ったところ。なお、デカハスラーと言われるクロスビーは1リッターターボ+ハイブリッドでも22.0km/L(2WD CVT)であるから、ハスラーの数値がいかに優れているかが分かるだろう。