圧倒的な静粛性を先進技術で実現した
ロールス・ロイスは2017年イギリス ロンドンで発表した新型「ファントム」を日本で初公開した。1929年のモデルから数えて8代目となる「ファントム」はフロントの迫力が増し、取材当日の雪景色でも美しいと思わせられる堂々ぶりだ。
いつの時代も「品質・洗練・信頼」の3つに拘り「ザ・ベスト・オブ・ザ・ベスト」と言われているロールス・ロイス。8年の歳月と約500人のエンジニア、デザイナーが関わり登場した「ファントム」は、「自分へのご褒美として手に入れる最高峰のクルマ」だと発表会で説明された。
たとえば、プライベートジェットやヨットといった乗り物は、自宅のガレージに入れて眺めたりすることが出来ない。しかし、「ファントム」なら可能。デザインも美しく、どんな日もどんな瞬間も特別な日に変わる。
シンガポールから来日したロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋プロダクト・マネージャー スヴェン・グルンワルドさんが車両の解説を行ってくれた。
まず、注目したいのはフロントのデザイン。パルテノングリルは前モデルよりも大きくなり、ボディフレームに統合させたことで継ぎ目のない滑らかな仕上がりとなった。クロームを基調に力強さとさらなる存在感を主張した。さらに、ヘッドライトにLEDとレーザーライトのテクノロジーを採用し、夜間は約600m先まで照らしてくれる。
技術面でいうと、今回からオール・アルミ製フレームの「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。快適な乗り心地を実現するために、先代よりもボディ剛性は約30%増し、一部では100%改善したところもあるという。ちなみに、ロールス・ロイスでは、一部を手作業で溶接するといった昔ながらの伝統的な手法を使っている。
また、エンジニアは快適性を求め、足まわりのエアサスペンションのスプリングを大きくしたという。これにより衝撃の受け幅を多くしてフラットな乗り心地を実現した。
また、日本で走るには大きいボディに、4輪操舵(4WS)も導入。こうしたさまざまな努力もあり、魔法の絨毯のような乗り心地を実現したという。
エンジンは6.75リッターV型12気筒ツインターボをフロントに搭載し、最大出力は571馬力、最大トルクは900N・mを発揮する。驚きと喜びもぬかりなく提供する「ファントム」は、リヤドアのみ自動閉鎖システムが備わっていたが、新型はフロントにも採用している。
世界でもっとも静かな1台と言われる「ファントム」の内装に目を向けると、時速100kmの騒音レベルが先代よりも10%低下している。驚くことに、130kg以上の遮音材を採用。路面からの騒音はフレームのフロアとバルクヘッドに二層式の合金製スキンを取り入れることで、効果を高めたという。
これに加え、さらなる静粛性のために180種類のタイヤテストを行い、ロードノイズの少ない最適なものを選らんだ。
内装に話を戻すと、ダッシュボードやインストゥルメントパネルまわりはアートに仕立てあげることが可能だ。これはオーナーの好きなものを設置できる、ガラスケースのようなギャラリースペースが助手席前のパネルに用意されている。今回の車両には、イギリスのバラの専門家と協力して作り上げた陶器製の絵が「展示」されていた。
ボディカラーや内装はオーダーメイドも可能で、購入者の思いのままに仕上げられる。広報のローズマリーさんにあえて人気色を訪ねると「日本では白と黒が多いです。海外はシャンパンゴールドや2トーンなど美しいグラデーションで乗る方もいますね。内装がピンクのゴーストは社内でも話題になりました」という。
価格はファントムが5460万円から、ファントム・エクステンデッド・ホイールベースは6540万円からとなっている。