スズキ・スイフトスポーツまでターボ化! 改めて考える自然吸気エンジンのよさとは

本来反応のよさや回転の上昇に伴い高くなる排気音などが魅力

 現在の日本で唯一無二のホットハッチ、スイフトスポーツが2017年9月にモデルチェンジしました。70kgの軽量化、ワイド化された3ナンバーのボディ、CVTから6速ATへの変更など、走りのレベルアップを予感させるトピックスが数多く盛り込まれたモデルチェンジとなりました。

 しかしもっとも大きな変化は、エンジンが自然吸気(NA)から最新の直噴ターボへとスイッチしたことでしょう。高性能とハンドリングを両立させるために、世界的なトレンドに従った、ということになります。自然吸気エンジン

 スポーツモデルといえば、アクセルペダルの動きに敏感に反応するエンジンが求められます。それにはシンプルなNAエンジンがピッタリで、高回転まで伸びやかでリニアに吹き上がっていく感触も、スポーツドライビングの大きなエッセンスのひとつです。やはり排気音もパワーとともに甲高くなっていくのが、ドライバーの気分高揚には大切です。

 そのひとつの究極は、ホンダのスポーツVTECエンジンでしょう。高回転でレーシングエンジン用のカムへと切り換え、パワーとエンジン音を一気に高めてくれる刺激的なエンジンでした。しかし現在、NAのスポーツVTECエンジンは姿を消してしまっています。

 ターボエンジンというのは、排気系の中にタービンを入れているので、排気音が低く小さくなります。またターボの効率を考えると、そう高回転型の特性にするわけにもいきません。さらに、圧縮比を低くするので、エンジン音も小さくなってしまいます。

よって、スポーツエンジンとしては疑問符が多く付いてしまうわけです。しかしターボによってパワーやトルクは高まるので、性能は向上します。エンジンの排気量を小さくすることが可能なので、エンジンのサイズが小さくなる場合もあり、ハンドリングは優位になります。

 今回スイフトスポーツに搭載されたのは、エスクードにも搭載された1.4リッターの直噴ターボを少しだけ仕様変更したもので、いわゆるダウンサイジングターボという性格になります。低回転からトルクを発揮して、ターボラグが極めて小さい、というのがダウンサイジングターボに求められる要件になります。それが軽量なスイフトのボディに搭載されているわけです。

 スイフトの標準車には、RStという1リッターのダウンサイジングターボモデルが存在していますが、本当はトルクが12kg-mくらいで十分なので800ccくらいが順当だと思います。つまりダウンサイジングターボのエンジンを搭載しているものの、その排気量が1.5倍くらい大きくなっているわけです。

 排気量が相対的に大きなダウンサイジングターボは、NAのスポーツエンジンとはまったく逆の特性になりますが、スポーティにクルマを走らせるのにマッチしています。どの回転数でもアクセルを踏めば、しっかりと反応があって、クルマがすぐに加速していきます。昔の高回転型ターボは、低回転ではターボが効かず、またターボラグもあったので、そうはいきませんでした。

 そして、スイフトスポーツですが、2.3リッター級のトルクを持ったことで6速ATのセッティングは、トルコンをほとんどの領域でロックアップするダイレクトなものになっています。ガツガツとシフトしている感触は、日本車でもっともスポーティなATです。これまでMTが主流のスイフトスポーツでしたが、今回のモデルはちょっと違ってくるかもしれませんね。

 改めてタイトルに戻ってみますが、そもそも旧型のスイフトスポーツにNAエンジンのスポーティな良さがあったでしょうか? パワーもレスポンスもピックアップも満足できるものではなかったので、ボクは16インチにインチダウンして、しかもエコ系なタイヤに変更していました。あくまで体感ですが、10馬力くらいパワーアップしたような感触になりました。エコタイヤが標準の86/BRZもそうですが、現代の日本のスポーツ系NAエンジンはまったくスポーティな感触がありません。

 排出ガス規制や音量規制、そして燃費性能などハードルが高くなった結果、NAエンジンの美点だったレスポンスやピックアップが大幅に失われてしまったんです。スポーティなモデルにはターボ! というのも当然なのかもしれません。


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