「大は小を兼ねる」的な発想でミニバンやSUVに流れた
一時期はプリメーラやマークII、クラウンなど多くの車種にバリエーションとして用意されただけでなく、単一車種としても一大ムーブメントを巻き起こしたステーションワゴン。しかし、現在の国産車のラインアップを見ると車種が圧倒的に縮小されていることにお気づきの方も多いハズ。
執筆時点で新車として購入できるステーションワゴンは、5ナンバーサイズだとトヨタ・カローラフィールダー、日産ウイングロード、ホンダ・シャトルの3車種のみだが、すでにウイングロードは一部グレードで注文ができない状態となっているため、実質2車種といったところ。
3ナンバーサイズでも、マツダ・アテンザワゴン、トヨタ・アベンシス、トヨタ・プリウスα(5人乗り)、スバル・レガシィアウトバック、スバル・レヴォーグ、ダイハツ・メビウスと、まさに数えるくらいしか存在していない。
ということはステーションワゴンの需要がなくなってしまった、と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、ステーションワゴンの積載性を求めるユーザーがいなくなってしまったとは考えにくい。では、なぜステーションワゴン人気が落ち着いてしまったのだろうか?
それは、恐らくステーションワゴンに求められていた要素をミニバンやSUVがカバーしてしまったからだろう。元来、日本人は「大は小を兼ねる」ということわざがあることからもわかるように、“どうせなら大きなものを選ぶ“という選択をしがちな民族であり、「どうせクルマを買うならいざというとき多く乗れるミニバンを買おう」とか、「いざというとき悪路も走れるSUVにしよう」というクルマ選びをするために、ステーションワゴンが選ばれにくくなってしまったということではないだろうか。
もちろん、ステーションワゴンには「セダンと同等の走りのポテンシャルを持ちつつ荷物も積める」という利点があるのだが、そこに重きを置くユーザーが少なくなっているというのは残念なところ。ただ、そういうユーザーがゼロでないからこそ、欧州ブランドのステーションワゴンや、スバルのステーションワゴンが現在でも一定の支持を集めている、とも言えるのだが。