フォードGT40をモチーフに現代版に仕立てた
今や東京オートサロンのひとつの名物ともなっているNATS=日本自動車大学校の学生たちが製作したカスタムカーの展示。今年も楽しみにしてNATSのブースを訪ねてみると、10台の力作が並べられていた。なかでもひときわ目を引いたのは、1960年代にル・マン24時間レースで4連覇を達成したフォードGT40ルックのカスタムカー。
ベースはトヨタのMR-Sで、サイズは短く小さめ。よく見ればGT40のオリジナルのスタイルを踏襲したわけではなく、現代風にアレンジしたフォルムだが、その雰囲気はじつに上手く醸し出している。製作に携わった学生は6人で、製作期間は約半年。たまたまアメ車好きのメンバーがひとつのグループに集まり、搬入ギリギリまで作業に没頭したそうだ。
「ベース車の原型を留めていてはいけない」という不文律のようなものがあり、プレッシャーもかかっていたとのこと。ボディワークはFRPで、ボディをあまり切らず(フレームは手を入れていない)にワイドボディ化。テールまわりはメッシュを多用し、ミッドシップのスポーツプロトタイプレーシングカーらしさを表現している。
最終的には車検を通して、公道走行まで持っていくのが彼らのプロジェクトのフィニッシュで、その技術力と志の高さには思わず脱帽。「こんなのがあったら欲しい、売れるのでは」というのが、製作の出発点で、車名の「NATS GT40-PS」の「PS」には、「プロトタイプスポーツ」の意味が込められているとのこと。
ほかにも、トヨタ・ヴェルファイアを大胆にピックアップトラック化したカスタムカーなどもあり、発想のユニークさやベース車選びの着眼点などは、プロ・アマを問わず、日本のカスタムカー界の一翼を担っている存在。公道での実走テストもぜひ見てみたい。