いつも同じルートでも目的地などは乗務員側から話さない
“タクシーを呼ぶ”となれば、たいていはオフィスや自宅の住所を配車センターへ伝えることになるが、最近では自宅近くのコンビニエンスストアを指定してくる利用客も目立っている。いろいろ物騒な世の中でもあるので、自宅を知られたくないというひとが多いようで、コンビニエンスストアをタクシーのピックアップ場所として指定しているようだ。
ただし、タクシー乗務員は当然前方を見て運転するのがメインなので、頻繁に利用する利用客でも、意外かもしれないが顔を覚えていることは少ないようだ。
筆者も自宅までタクシーを頻繁に呼んで利用しているのだが、ある日は自宅に迎えに来るタクシーの待機場所でもある、自宅最寄り駅のタクシー乗り場から利用したことがあった。たまたま自宅へよく迎えにきてくれるときタクシー乗務員の車両に乗ることになった。自宅から乗るときはいつも車内で話が盛り上がるのだが、駅から乗ったときはしばらくは筆者であることがわからず、目的地などを伝えていると、「あれっ、ひょっとして……」とわかってくれた。
また別の日にも、最寄り駅からタクシーで自宅まで帰ったのだが、自宅にだいぶ近づいたときに「良く乗ってくれるお客さんですね」と、ルートで筆者のことがわかったようである。
タクシー乗務員の新人教育では、乗客のプライバシーの取り扱いに関して注意するように指導を受ける。タクシー会社(または無線グループ)によってはテレビ局と局員の早朝や深夜の送迎に関して請負契約を結んでいるとこともある。
当然、人気女子アナウンサーなども、たとえば早朝番組を担当していれば契約しているタクシー会社の車両が自宅に迎えに行く。同じタクシー会社なら誰でも迎えに行けるというわけではなく、ベテランのなかから選ばれた優秀な乗務員が担当となる。もちろん自宅の場所などは秘匿契約が結ばれるが、聞いたところでは車内での不用意な会話も禁じられているとのこと。
有名人ではなくとも、よく利用する乗客とわかっていても、「自宅までですよね」などと、乗務員側から、“あなたの個人情報知っています”というようなことは、むやみに切り出さないようにも指導されているようである。
とはいうものの、筆者などは何回も同じ乗務員のタクシーに乗っているのに会話がないのも寂しいと感じる。そのあたりは、タクシー乗務員もお客を見て“このひとは大丈夫”と見極めながら話しかけているようである。