3列目の広さも座り心地も大満足
ところで、クルマの特等席は人によって運転席、または助手席、そして2列目……となるのだろうが、CX-8は3列目が静粛性や乗り心地、居心地含めかなりいい。まずドライバーと3列目シートに座る私が普通に会話できる静粛性。これは新型CX-5から高められている遮音機能が、CX-8ではさらに音の侵入を防ぐためフロアパネルの板厚も強化されている。
ホイールハウスやリヤゲートにもっとも近いシートだからこそ、まわりからの音の発生や遮音、吸音へのこだわりぶりがわかるというものだ。またリヤタイヤに近いところに座っているにもかかわらず、CX-8の乗り心地はメルセデスSクラス並みとは言わないが、ゴツゴツを滑らかにし不快指数は極めて低い。加えて、横揺れが軽減されている点もいい。
乗員の挙動は後席になるほど大きくなりがちだが、そこはマツダの技術“Gベクタリングコントロール”がそもそも前後左右の揺れを抑える制御で助けてくれる。だからCX-8は3列目に座っても、横揺れは小さいのだ。また足もとのスペースも2列目シートと3列目で何とか分け合ってギリギリ……というのではなく、それぞれに快適な足もとスペースが稼げるように設計されている。
だから3列目のシートの座り心地もラゲッジとして畳むことを視野に入れているわりには、大きさも座りやすいデザインも工夫されている。しいて言えば、2列目の着座感が高めだ。欧米の椅子やベッドのような、日本人に馴染みの薄い高さが採用されているのだが、これも3列目に座る人が爪先までスッと前に出せるように配慮したものだという。
最後は、“窓”。まるで飛行機の窓のようなフレームが切り取る景色はインスタ映えもアリかもしれない? 3列目の独特の包まれ感にあの三角窓がとにかく良い雰囲気。もちろん、静粛性と乗り心地も担保されているから、しみじみ3列目を評価できるのだ。
担保と言えば、CX-8は後面衝突(後突と略)への備えにも力が入る。衝突エネルギー吸収と分散、そして乗員保護のためのボディ補強と、フレームが曲がったとしても乗員空間を避けた曲がりを導くような設計、それに燃料タンクの保護など、快適性のみならず安全性もこだわっていることが、プレゼンテーション内容からも伝わってきたのだった。
もちろん、マツダの先進予防安全技術“マツダ・プロアクティブ・セーフティ”の技術はフル搭載されている。さらにCX-8では新たに駐車場でとても便利な360度ビューモニターを採用している。大きさに対してネガな不安を持つ方にもこの新技術は頼もしさに繋がるはず。目視も大事だけど、さらに俯瞰で見えるのってやっぱりありがたい。
三列シートを持つSUVとしてのクオリティは正直、かなり高い。CX-8のスタートプライスは300万円前半だが、安全装備を備えるミドルグレードが最有力かと思われる。一方で6〜7人乗車可能なモデルをより手軽に……となれば、日本には優秀なミニバンもある。しかし高い天井とミニバンが持つ解放感にはない、エレガンスと乗り味を持つ優れたモデルが国産モデルにあってもいい。それがCX-8の存在価値ではないかと改めて思う。