高速移動での静粛性はスタッドレスを軽く凌ぐ!
ポルシェを始めとする自動車メーカーが純正タイヤとして認定する「ネクセンタイヤ」。同社がラインアップする商品のなかの『Nブルー4シーズン』は、ドライ路面から雪道まで走行可能と季節を問わず使用できるオールシーズンタイヤだ。今回は、モータージャーナリストの五味康隆さんがドライ路面でその実力をチェックする。
ネクセンタイヤは、近年ヒュンダイ自動車やキア自動車と共に、欧州市場をはじめグローバルに勢力を拡大している韓国のタイヤメーカーである。日本でもネクセンタイヤジャパンが積極的にさまざまな商品を導入し始めている。日本では2017年よりトヨタグループの豊田通商とパートナーシップを組んで「ネクセンタイヤジャパン」を設立。日本市場に本格参入して、エコタイヤからハイパフォーマンスタイヤまで豊富な商品ラインアップを揃えている。
本ブランドの注目すべき点は、ポルシェ・カイエンの純正指定タイヤ認定を受けているということ。タイヤ事情に詳しい方であれば、これがどれだけ凄いことかわかるだろう。同社のタイヤに対する性能要求は厳しく、認証を得ることは高い技術の証明書を得るのと同義だ。
今回はオールシーズンタイヤの「Nブルー4シーズン」を、愛車のプリウスPHV(15インチ)に装着して、ドライ路面でテスト走行をしてみた。
まず走り出して感じたのは、パターンノイズとロードノイズがあるということ。これはV字ブロックパターンを必然とするオールシーズンタイヤでは仕方がない部分。ドライ性能に加えてシャーベットを含めた雪道も走ることを前提にした構造だからだ。
市街地走行+αで気掛かりなそれらのノイズが、高速道路では気にならなくなる。風切り音で紛れてもいるのだが、どうやらタイヤの柔軟性がノイズの原因である振動を収束させているようなのだ。
高速道路メインの使い方をするなら、騒音が気になる方でも満足できるはず。ちなみに一般的なスタッドレスタイヤと比較すれば、極上といえるほど静かではある。
乗り心地は、全体的には純正より優しい。だが、ややスポーツタイヤ風のゴロゴロ感を感じる時がある。
一般的なサマータイヤよりタイヤのケース剛性が若干柔らかく、路面の凸凹をいなしてくれるのだが、タイヤブロックが路面を叩く音や微振動はあるので、目の荒いアスファルトではゴーッという音が大きくなり、乗り心地に硬さを感じてしまう。ケースは柔軟性に富んでいるが、トレッド面(接地面)は硬めというというわけ。 ハンドリングは、ステアリング操作に対して、最初はフニャッと動く。トレッド中央のゴムは柔らかい雪道用で、最初にその部位が動き、その後外側の硬いドライ用ゴムが機能し始めると、的確な応答が返ってくるというわけだ。
ハンドルセンター付近のしっかり感は高いが、路面の凹凸を拾うとどちらかに引っ張られるような感覚がある。これは中央の太い柱からV字型に広がるブロックパターンの影響かもしれない。
まとめよう。総合的に判断すると、一般的なサマータイヤと同レベルで扱える実力は備えており、それはひ弱なエコタイヤよりも十分にしっかりしていて、安心して走ることができる。
そもそもオールシーズンタイヤとは、夏のドライ路面から冬の雪道や氷上路面まで走行可能なタイヤで、サイドトレッドには冬にも装着可能な「M+S(マッド&スノー)」マークと欧州の標準化・規格認定機関の「ASTM」認証のスノーフレークマークが刻印されている。ネクセンタイヤでは、これらの冬用タイヤのテストをフィンランドの北端イヴァロにあるテストコース「テスト・ワールド」で行っている。
同コースは1991年創立で、総面積120ヘクタールの広大な敷地のなかにはスノートラックやアイストラック、スノー&アイスハンドリング路、登坂路などがあるので、ここで開発されたタイヤの実力の高さは期待できる。まだウインター性能が試せていないが、ぜひとも雪道での性能もチェックしたい。その様子はまたWEB CARTOPでリポートする予定だ。
ネクセンタイヤ:https://www.nexentirejp.com/