DQNカーに腹が立っても……ドラレコで撮ったクルマのナンバーをネットで晒していいのか?

自動車のナンバーだけなら個人情報にはあたらない

 あおり運転が話題となり、ドライブレコーダー(ドラレコ)の装着率も上がっているという。そうなると、今までは記録できなかった映像が自動的に残ることになる。インターネットを検索すれば、ドラレコによって録画された事故などの映像を簡単に見つけることができる時代だ。ドライブレコーダー

 一方で、SNSやブログなどでは他人のクルマ画像をアップするときにはナンバー(自動車登録番号/軽自動車は車両番号標)を消しておくべし、というマナーが広まっている。中には個人情報保護の視点からナンバープレートにボカシを入れることは必須だ! という強い主張もある。

 では、ドラレコで撮った映像をそのままインターネットで公開してしまうことは個人情報保護の視点から違反なのかというえば、そうではない。自動車のナンバーだけでは容易に個人を識別できないので、個人情報にはあたらないというのが公の見解といえる。

 つまり、マナー違反という見方はできるだろうが、クルマのナンバープレートが見える分には個人情報保護法の視点からは問題にはならないのだ。ちなみに、車検証や運転免許証のコピーは個人情報に当たるので、他人のそれをそのまま公開してしまうのはNGだ。

 あおり運転など腹に立つ行為を見かけたとき、そのクルマの映像を撮っているとインターネットで公開したくなる気持ちになるかもしれない。上記の理屈から、そのまま公開したとしても、少なくともナンバープレートが見えていることについては文句を言われる筋合いではないといえる。

 ただし、運転手の顔が明確に確認できる映像で、まして相手の非を批判するような文脈になると、肖像権などに抵触する可能性も出てくるかもしれないが……。

 いずれにしても、動画でナンバープレートを隠す処理をするのは画像に手を入れるよりも難易度が高いため、そのまま公開してしまうケースが多いだろう。ところで、インターネットではナンバープレートを晒さないというマナーは、けっしてグローバルなものではない。

 SNSなどで画像検索すると、海外ユーザーでナンバープレートを隠しているケースは日本のそれより少ない印象だ。逆に、日本のユーザーであっても海外で撮影したクルマの画像はそのまま公開しているケースが多い。インターネットが世界につながっていることを考えると、マナーを重視するのであれば海外で撮影したクルマのナンバープレートも隠すべき、という議論が生まれるべきだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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