あくまで公称な上にたった2km/hの差だがファンは興奮
ブガッティのシロンが最高速度420km/h達成で、市販車トップなどと、スーパーカーと最高速度は切っても切れない関係にある。馬力ととともに、モンスターぶりを表すのに、わかりやすいというのもあるだろうが。
歴史をさかのぼって、元祖スーパーカー最高速争いといえば、フェラーリとランボルギーニの対決だろう。スーパーカーブームの頃が世界的にも頂点というか、最高速争いの創成期で、フェラーリ512BBとランボルギーニのミウラやカウンタックLP400などのスペックに、クルマ好きは狂気乱舞したものだ。
実際の速度はというと、カウンタックとミウラが同じ300km/hジャストだったのに対して、フェラーリ512BBは302km/hと、その差はごくわずか。このたった2km/hが狂喜乱舞の原因でもあった。もちろん302km/hというのは当時の世界最高速度である。
ただし、当時はワクワクしたものだが、今思えば「本当に出ていたのかはかなり疑問」だ。そもそもフェラーリ512BBの先代にあたるフェラーリ365GT4BBは排気量が少ないのに同じ302km/hというのもなんだか変。
それに、最高出力は公式スペックでも、フェラーリ512BBが360馬力。一方のランボルギーニ カウンタックLP400は375馬力と、当時としてはどちらもスーパーなのは確か。だが今の基準で見ると珍しくもなく、そもそも300km/hまで出せる馬力でないのではと思ったりもする。
実際、当時も含めて実測テストが行われているが、どのクルマの結果も200km/h台半ばばかりだ。カウンタックに乗っても、確かにスーパーカーならではの雰囲気は強烈にあるものの、走りは普通。調子もあるだろうが、200km/hを超えるのもきついのではと思った覚えがある。
まぁ、スーパーカーブームの真っ只中に身を置いたワタクシとしては、出る・出ないという話自体がクルマ好きの会話ネタだったし、出なくても十分どれもみんなスーパーなクルマばかりだったので、存在しただけでよかった。
ちなみに、創業者のフェルッチオ・ランボルギーニが、エンツォ・フェラーリに冷たくあしらわれたために、雪辱戦として最高速争いとなったという説があるが、実際は仲がよかったわけではないにしろ、悪くもなかったようだ。
(取材協力:マロニエ・オートストーリー『秋』ミーティング)