流通在庫車を狙うなら12月が狙い目
新車販売には年間を通じて“増販期”というものが存在する。期間限定のノルマをセールスマンに課して、より積極的な販売促進活動が行われるのである。
2月と3月がメインとなる年度末、以下6月と7月の夏商戦、9月の半期決算、10月と11月の秋商戦が従来は増販期とされているが、昨今では年度末商戦では納車に時間がかかるので、年度内の登録及び納車(セールスマンやディーラーの販売実績カウントは当該月内に何台登録できたかになるのが大原則)が厳しい車種が多いとのことで、1月から事実上年度末商戦としてスタートする傾向が強まっている。同様の理由から夏商戦も5月のゴールデンウイーク明けから昨今はスタートしているのが現状である。
さらに、長引く新車販売の不振状況もあり、11月末の秋商戦終了のタイミングでは、メーカーと約束したディーラーの年間目標販売台数達成がほぼ不可能となっており、12月にも“年末商戦”として増販期として位置づけるようになってきた。つまり年間を通じて4月と8月以外は増販期になっていると考えてよい。ちなみにいまどきはボーナスが支給されない企業も多いとの判断から、“ボーナスセール”という表現は避ける傾向が強まっている。
事実上通年でいつでも増販期という状況下では、値引き額の基本となる車両本体価格からの値引きは通年で変動することはない。つまり“年度末決算だから”といって特別にアップすることはまずない。
そのなかで商談により値引き条件がアップしていく背景は、オプション用品からの値引きや下取り査定額の上乗せなど、周辺からの値引きや値引き支援で値引き額全体の積み増しが行われているのである。この周辺からの値引き支援が手厚くなり、さらに条件アップしやすくなるのが増販期で、それぞれの時期で売りたいクルマ(基本的には人気車などの販売主軸車種となるが、そのタイミングでモデルチェンジが近い車種などもピックアップされる)の値引き支援がより厚くなるのである。
現状ではすでに秋商戦も事実上終わってしまっているのだが、車種によっては12月の冬商戦はかなり狙い目となっている。メインとなるのは日本車ならば軽自動車やコンパクトカーなど、“流通在庫”とも呼ばれる、ディーラーが見込み発注などで手元に置いている在庫車が多めの車種となる。これらはディーラーが手元に在庫を持っているので、登録そして納車に、工場へのオーダー車に比べれば日数を必要としないので、年内にほぼ間に合い、暦年締めでの目標販売台数達成に貢献できるのだ。そのため値引きが短期間で拡大していくのである。
もちろん軽自動車やコンパクトカー以外でも、年内登録及び納車が可能ならば短期間での値引き拡大は十分期待できるのである。
「年末は仕事が忙しくて新車購入どころではない」というひとには、年明けに行われる“初売り”を狙うのがおすすめ。とくに三が日中から初売りを始めるスズキやダイハツは、正月三日あたりに店頭を訪れて商談をするのはかなりおすすめである。お互いを意識して三が日から店を開けているとの話もあるし、各ディーラーともに“半数出勤”で対応しているので、当然値引きアップの決裁も通常よりシンプルな流れでもらえるので、値引きアップも順調に進みやすい傾向にあるのだ。
ほかのメーカー系ディーラーも松の内(7日)までには初売りを始めるので、職場が年始休み中に商談を進めることが可能なひとも多いはずである。
正月休みの影響でディーラー及びセールスマンの稼働日数が極端に少なくなっていること。さらに日本全国がいわば“正月ボケ”で新車購入を検討するひとが少ないこともあり、少ない受注見込み客を逃がさないために短期間で好条件(大幅値引き)が出やすくなっているのである。そのため稼働日数が少ない分、初売りからスタートダッシュをかけて積極的な新車の販促活動を行ってくるのである。当然初売り限定の特価車なども設定され、これも結構買い得感が高まっている。
最近では年度末商戦成功の成否が1月にあるともいわれている。これは納期遅延車が目立つなか、早めに受注をもらうことで、年度内登録及び納車の可能性がより高まり、年度末商戦の実績としてより多くをカウントすることが可能だからである。
もちろん2月と3月はかなり積極的な値引き支援策が展開されるのでねらい目なのだが、人気車ほど年度内納車が厳しくなる車種も多いので、結構リスクも大きいのである。
輸入車は年末から翌年3月まで、つまり事業年度内はかなり買い得となってくる。これは本国にある本社が年末に決算を迎えるため、年末から軽自動車やコンパクトカー並みに、値引き拡大はもちろん、超低金利ローンやキャッシュバックなどの特典も充実してくるのである。さらに日本国内の輸入車販売ディーラーは年度末が決算月となるので、そのまま年度内いっぱいまではかなり魅力的な条件で購入することが可能となってくる。
値引きが拡大するのは基本的には国内に陸揚げされている在庫が優先されるのだが、年度内に日本へ陸揚げ可能なタイミングで海上輸送中の車種でお気に入りの仕様があれば、こちらも在庫車扱いとなるので、好条件で押さえることも可能となっている。一般的な輸入車は在庫から選んで購入するのが大原則。オプション過多などの車種などが在庫になりやすく値引きも拡大していくが、その分実質車両価格も高まっているので損得勘定はしっかり行って欲しい。
全般的には年末から翌年3月までの事業年度内は輸入車も含めてかなり魅力的な条件で購入することが可能なので、「3月に攻めたほうがいい」というような“外野”の声は気にせずに、できるだけ早めに自分のライフスタイルに合わせて商談を進めるのがベストな新車購入のための商談の進め方といえよう。