自分で直せるかどうかは「爪」で判断
クルマは走っている以上、キズは付くもの。わかってはいるけど、付くとイヤものだし、なんとかしたい。ただし、大きなキズならあきらめもつくものの、小さいキズは手間も費用もかけずになんとかしたいというのは人情だろう。
まず、最初に言っておくと、パテと缶スプレーを使った補修はよほど器用な人でないときれいに直すのは無理。目立たないところなら「なんとかいけるかな?」ぐらいに考えておいたほうがいい。またタッチペンもサビの発生を抑えたり、パッと見目立たないようにできる程度だ。プロも筆差しと呼ばれる作業をすることはあるが、聞けば「筆で塗ること自体に無理があって、素人がタッチペンで塗ったのと差はない」というほどなので、タッチペンは応急などと考えたほうがいい。
では、自分で直せるキズというのはどういったものか? 線キズは自分で直せる筆頭格といっていいが、これにも限度がある。その限度を知るのは簡単で、ツメを立ててみて引っかかるようなら完全には無理。ほとんど引っかからないなら、それほどのダメージではないので、直すことはできる。
方法としてはコンパウンドがけなのだが、ポイントは表面を均等に磨くということ。よくやりがちな布に付けて、指先でごしごしとこするのはダメ。結局、指の形に磨かれて、光の加減によっては目立ったりもする。
具体的には布に芯を入れてやるのがコツだ。ゴムやコルクのブロックに布を巻いて、そこにコンパウンドを付けて磨く。ブロックがあるので、力が塗装表面に均等にかかり、ムラなくキズを消すことができるわけだ。
またコンパウンドの選び方も重要で、素人が手でかける場合はまず極細と呼ばれる一番細かいので試してみる。これで取れないなら少しずつ荒くしていくといい。取れたところで今度は細かくしていき、磨きキズを取っていく。
プロの場合は荒いのでキズを取ってから、細かいので磨きキズを取っていくが、やったことがないと最初にどの荒さのコンパウンドを選べばいいかわからないもの。逆に細かいところから始めれば、いきなりキズが付いてしまうこともない。無理せず、こんな程度かなと深追いしないのが、キズ取りに限らずボディ補修の注意点だ。