510馬力/685N・mを誇る4リッターV8ツインターボを搭載
基本骨格は、DB11で初採用となった新世代のボンデッドアルミストラクチャーを進化させたものだ。GTカー色の強いDB11に対してスポーツカー色の強いヴァンテージというキャラクターに相応しい剛性の確保やバランスの最適化のため、全体の70%が専用開発されているという。フロントミッドシップにレイアウトされるパワーユニットは、メルセデスAMG製をベースとした4リッターV8ツインターボ。
最高出力は510馬力/6000rpm、最大トルクは685N・m/2000-5000rpm。すでにDB11 V8に搭載しているものと基本を同じくするが、最大トルクはこちらが10N・m高い。アストンは自社製エンジンですら搭載モデルごとに細かくチューニングを変えるほどだから、このV8ツインターボにも独特の”らしい”味わい深さを持たせるため、当然ながら手が加えられている。トルクの違いはそうした最適化の結果なのだろう。
ちなみトランスミッションはZF製の8速ATで、50:50の前後重量配分を実現するためにトランスアクスルレイアウトとされている。このエンジンとミッションの組み合わせで、0-62mph(約100km/h)3.7秒、最高速314km/hと、立派にスーパースポーツカーと呼べるパフォーマンスを実現している。
シャシーまわりを見ていくと、サスペンションはがフロントがダブルウイッシュボーン、リヤがマルチリンクで、スカイフック式のアダプティングダンピングシステムを備えている。ステアリングはロックtoロックが2.4回転とかなりクイックな車速感応型電動アシスト付き。
最大のトピックは、アストンマーティン初の電子制御式リヤデフが採用されたこと。オープンから100%ロックまでを瞬間的にシームレスに切り替えることのできるそのシステムは、トルクベクタリングやスタビリティコントロールをはじめとする他の電子デバイス系と合わせて統合制御されるという。
先代のヴァンテージのハンドリングとコーナリングパフォーマンスは、このクラスのスポーツカーとして屈指の素晴らしいものだった。だが新型ヴァンテージがその美点をさらに磨き上げた魅力的なスポーツカーとなっていることは簡単に想像できる。アストンの車両特性部門のチーフエンジニア、マット・ベッカー氏に新型ヴァンテージの印象を訊ねてみたところ、「新しいヴァンテージは、あらゆる部分でこれまでのモデルを超えています。ヴァンテージとしてハンドリングがもっとも素晴らしいと好評をいただいたスペシャルエディションのGT8より、同じ土俵で比べても優っています」ということだった。これはかなりの自信作と見た。
日本での価格は1980万円からとなる予定。デリバリー開始は2018年の第2四半期から、となる。
付け加えておくと、レーシングヴァージョンの”ヴァンテージGTE”も同時に発表されている。アストンのレーシングカーとしてもっとも成功した先代ヴァンテージGTEの後継として、ル・マンを含む世界耐久選手権などGTカテゴリーを戦うためのマシンである。現時点では詳しいデータなどは公表されていないが、すでに1万3000km以上にわたるテストを実施しており、2018シーズンの最初のレースからお目見えするという。2017年のル・マンでの逆転優勝に感涙させられた身としては、来シーズンの戦いぶりにも大いに期待したいところだ。