「より速く」「より快適に」ドライビングモードは3つに増えた
タイプRのタイプRたるゆえんは、その「走りの楽しさ」にある。6速MTで「操る喜び」を堪能できるよう、スポーティな仕上がりになっている。
まず、ドアを開けた瞬間に目に飛び込んでくる景色が、まさに「タイプR」。ブラック&レッドの色調が走りの気分を高めてくれる。ステアリングは形状こそベースモデルと同じだが、イタリア製レザーを用いたタイプR専用となっている。電動パワーステアリングの設定も、もちろんタイプR専用。ロック・トゥ・ロックが2.1回転とクイックな設定になっている。
マニュアルトランスミッションのシフトノブは、歴代タイプRに代々受け継がれる球形タイプ(アルミ製)のコンペティティブなもの。なお、パーキングブレーキはシビックシリーズ全車で電動パーキングとなった。
シートはホンダ・オリジナル設計によるもので、シート骨格から刷新し、また内部フレームにハイテン鋼を使うことで高剛性と軽さを両立させた。ヒップポイントは先代タイプRより25㎜低くなり(ノーマルハッチバックモデルよりも低い)、サイドサポート、ニーサポートも大型化している。
そして、注目の装備が先代タイプRにも搭載された「ドライビングモードシステム」。今回、新たに「+R」「SPORT」「COMFORT」と3モード(先代は2モード)となったが、モードを変更することでレスポンス性能などのエンジン特性だけでなく、ステアリング特性やレブマッチシステム(シフトダウン時のクラッチ操作に合わせたエンジン回転同調機構)の応答性、VSA/TCS/AHA(アジャイルハンドリングアシスト)などを統合制御してクルマ全体の動き(操縦安定性・乗り心地・快適性)を変えられる。
これが3モードとなったことで、「+R」ではよりスポーツ性を高くすることができ、「COMFORT」では街乗りでの快適性を確保することができるようになった。メーター上にも各モードごとにグラフィックが異なる演出が見られ、ドライビング気分を高めてくれる(メーターにはレブインジケーターやGメーターも表示させることができる)。
今どきのスポーツカーはサーキットで速いだけではなく、乗用域での操縦性や高い快適性も求められるが、タイプRはあらゆる状況に対応できる「全方位スポーツカー」を具現化したモデルといえるだろう。