ワインディングで大きな効果を発揮した4コントロール
ワインディグに行くと、すべてのパーツがフル活用されて、走りが活き活きとし出すのが印象的。まず街中であれだけ直進安定性が高かったとは思えないほど素直に曲がる。いや曲がりすぎるほどだ。
走行モードがノーマルモードでもある「ニュートラル」では、ハンドルが軽く気軽に切れすぎてしまい、グイッと曲がり込みすぎる。だからこそ、ワインディングでは即座にハンドルにドシッとした手応えが備わるスポーツモードにしたほうが良い。
その瞬間から、排気音も刺激的に変わるし、とくにフル加速での3000回転以降など、吸気音と相まってハイパフォーマンスカーを思わせる刺激が備わる。さらに、その刺激を助長するように7速EDCの歯切れの良い変速感が、不必要なシフト変速と加速を誘うので、スポーツモードは”マナーを大事に”楽しむ自制心が必要だ。
また7速EDCの効果もあるだろうが、エンジンレスポンスの良さも魅力。加速操作に対してはもちろんのこと、とくにアクセルを戻した時に加速力が瞬時に収まる感覚も気持ち良いし、コントロール性を向上させるので好印象。そして何よりも伝えたいのが、4コントロールの効果。
安定して鋭く曲がるところまではイメージしやすいだろうが、不思議なほどロールする感覚が少ない。これは試乗前のプレゼンテーションでルノーが強調していた要素。4輪操舵をフル活用すると、こんなにもロール制御に効果があるのかと驚いた。
初体験なのでより細かく言うと、旋回中に”あれだけ”路面のうねりを的確に追従するしなやかな足まわりなのでロール自体はしているのだが、4輪操舵が旋回力の発生スピードを微細にコントロールして、ロールスピードを調整している感覚。簡単に言えば、グラッする感覚を抑えて、体感上のロール感の低減を果たしている。何にせよ、気持ちよくアクセルも踏み切れるし、自在に旋回もコントロールできて爽快にワインディングを走れた。
ちなみにこれだけリヤ操舵を積極的に使って旋回を鋭くすると、もしかしたら鋭く曲がる逆操舵制御(フロントタイヤとリヤタイヤが逆方向に操舵される)と、安定させる同操舵制御(フロントタイヤとリヤタイヤが同じ方向に操舵される)が切り替わる時速80kmで、乗り味が変わる感覚が若干生じる可能性も予想できる。その片鱗を多少感じたが、そのあたりは今回試乗できなかった高速道路などで、機会を見つけて試してみたい。
何はともあれ、高いスポーツ性を持ち登場したGT。最後に個人の主観的な感想も加えると、乗り味云々の前にこのデザインとてもカッコ良い! 存在感も十分にあり、そこから期待する乗り味を超えてきているので所有満足度も高いはずだ。