じつはメーカーはEV化に本気ではないとの見方も
2017年9月に開催されたフランクフルトショーは、その開催直前にイギリスやフランスが2040年に内燃機関車の販売の終了を発表するなどしたこともあり、会場内は“EV一色”になるのではないかとされていたが、実際訪れてみると確かにEVの展示車は会場内で多く見かけることができたが、ショーデビューモデルはAMGなどのハイパフォーマンスが目だっていた。
今回の広州ショーもフランクフルトショーと“似た雰囲気”を強く感じた。中国民族系メーカーの多くは確かに純電動車を含むEVを多数展示し、外資ブランドもPHEVが多く展示されていた。しかし中国民族系メーカーがショー会場で発表するモデルは、サイズの大きめなSUVやミニバンなどが目だっていた。民族系メーカーの多くは、EV系とそうではないガソリン車との展示を明確に区分けしているところもあった。
もともと広州ショーは北京や上海に比べれば、より現実的なトレードショーとなっていたので、ワールドプレミアモデルも今ほど多くはなかったし、コンセプトカーも地元広州汽車が頑張って出品していたぐらいであった。
また中国ではすでに政府がEVに積極的な導入姿勢を見せてから久しく、内燃機関も含めて“クルマの動力のひとつ”としての認知も浸透しており、中国全体で見れば路線バスや原付バイクなどでも当たり前のように純電動車は走っており、日本ほどの特別な存在というわけでもないのである。
ただ同クラスの内燃機関車に比べれば高額で、なかなか手が届かないので、政府が補助金やナンバープレートの優先取得を可能にするなどインセンティブをつけて購入促進をさらに積極化していこうとしているのである。
さらに気になるのはドイツ系メーカーの動き。先に開催された東京モーターショーですら、“EQ(メルセデスベンツ)”や“I.D. BUZZ(フォルクスワーゲン”といった、EV専門ブランドを訴求する動きを見せていたが、広州モーターショーではその存在自体をアピールすらしていないのである。広州ショーが上海や北京ショーに比べれば格落ちすることもあるのかもしれないが、それでもこのタイミングで何も触れないのはかなり違和感を覚えてしまう。
もともとイギリスやフランスなどが近い将来に内燃機関車の販売終了を発表するなどしているのに、将来的に主流になるであろうEVに独立したブランドを作ってラインアップしていくこと自体に疑問を呈する専門家もいる(つまり本気でEVメインにする気がないのではないかとのこと)。
さらに“中国市場ではこれらのブランド展開はしないのではないか”とも専門家は語ってくれた。EVに積極的な姿勢を見せるドイツ勢であるが、世界的な展開と、中国国内の展開は別のものになる可能性もあり、今後の動き次第ではEVに積極的姿勢を見せるのは、“あくまで中国ありき”というのがはっきりしてくるかもしれない。