自動車社会に多大な影響を与えた「80年代のトヨタ車」6選 (2/2ページ)

4ドアクーペというコンセプトを先取りした名車も

4)X70系マークⅡ三兄弟(1984年)

「一般の人が買える限界近い250万円前後の価格で豪華でカッコよく見える」というコンセプトで爆発的な人気車となり、「マークⅡ現象」という言葉も生まれた。

5)初代カリーナED(1985年)

 4ドアでありながらピラーレスハードトップに2ドアクーペ並みの約1300mmという全高のスタイルを持つという「4ドアクーペ」というコンセプトを持つ。当然ながら4ドアなのにリヤシートは狭く、乗降性も悪いため自動車メディアでは酷評も多かったものの、美しいスタイルと4ドアという実用性のバランス、コストパフォーマンスの高さを主な理由に大ヒットを飛ばす。

初代カリーナEDのヒットで2代目モデルでは兄弟車のコロナエクシヴやマツダペルソナ、日産プレセア、三菱エメロードといったライバル車に加え、カローラセレス&スプリンターマリノという1クラス下で同じコンセプトを持つモデルまで登場した。

 カリーナED自体は1998年に3代目モデルで歴史を閉じるものの、凄いのはそれから10年近くあとにベンツがCLSやCLA、BMWも4シリーズ、6シリーズのグランクーペといったカリーナEDに近い4ドアクーペをラインアップするようになったことだ。

機能面以上にスタイルで日本車が外国車に影響を与えることは少ないだけに、良し悪しは別にしてカリーナEDのエポックメイキング度は際立つ。

6)初代セルシオ(1989年)

 1980年代に入るとクルマも含む日米貿易摩擦が大きな問題となり、日本から輸出されるクルマには台数の規制が課せられるようになった。そうなると安い価格帯のクルマはアメリカでの雇用も生む現地生産、日本から利幅の大きい高額車を輸出したいという流れもあり、アメリカ市場を中心に販売する高級車として産まれたのが初代セルシオだ。

しかし初代セルシオはそういった事情以上に「ベンツ、BMWを凌駕する」という強い意志を持って生まれたクルマで、具体的には圧倒的な静粛性を含む快適性、各部のクオリティの高さ、燃費の良さを保ちながら、初代セルシオと同じ4リッターV8級エンジンを搭載するベンツSクラスやBMW7シリーズ以上の加速力、最高速といった動力性能を備えることを目標に開発され、目標をほぼ達成。とくにアメリカと日本で大ヒットを収めた。それだけに初代セルシオはベンツやBMWをはじめとする世界の高級車メーカーに多大な影響を与え、このことは未だに日本車としては稀有なことといえる。


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