欧州車とは違う適度なソフトさが心地よい
ジープチェロキーをそのまま街乗りに適したサイズにしたような、スタイリッシュかつ低重心フォルムで登場した新型ジープ コンパスに触れてきた。
まずはその外装の質感向上に注目だ。先代では兄貴分であるチェロキーに対して、ボディサイズに比例して車格まで落ちている感覚が強かったが、それが払拭されている。小さくても存在感やジープらしい個性があり、チェロキーが信号待ちで横に並んでも、胸を張って「こっちのほうが走りやすいし街中にはあっているぞ!」と兄貴と対等に話せるプレミアム性が備わった。
ちなみにそのボディサイズは、全長4400mm、全幅1810mm、全高1640mm。数値からも適度な大きさであることはわかるだろう。グレードは3つ。Sport、Longitude、Limited。
全グレードに2.4リッター直列4気筒エンジンが搭載され、その中でもベーシックモデルはSportとなり、6ATが組み合わされるFFモデル。
Longitudeになると、中身はSportで内外装がブラックペイントルーフや17インチホイールなどの各部変更により上質感、高級感が高まる。
そしてジープらしいタフな走りを求めるならLimited。なぜなら4輪駆動となり、組み合わされるトランスミッションも9速ATとなる。内装はシンプルに操作性良く仕上がっており、その中でもApple CarplayやGoogle Android Autoなど携帯電話との連携なども図られていて先進的だ。
Limitedに試乗して、まず進化の度合いはすぐにわかる。無駄な振動が減り、さらには路面凸凹を通過した時の足まわりのドタバタ感も減った上に、クルマ全体の揺れも抑えられた。そのレベルは欧州車のように緩みのないビシッとした緊張を強いるものではなく、適度な緩みを持ったリラックスして運転できるもので、感覚的には質実剛健な欧州車にアメ車系の適度な“ゆるさ”を融合させた心地よいもの。
背景には、今ジープはアルファロメオやフィアットなどと同じFCAグループ。そのなかでもアルファロメオはプレミアムの別戦略なので異なるが、ほかは基本シャシーを共有化しようとしている。このコンパスのシャシーも全体の約7割を高張力鋼板で仕上げて高剛性を追求した『スモールワイド4×4アーキテクチャー』であり、基本は弟分のレネゲードと同様。
しかし、全長を145mmのばし、さらにホイールベースを65mm伸ばした効果により、レネゲードとは違うゆったり感が出ているのだ。そこに機械式可変ダンピングダンパーが加わり、クルマに入った振動を素早く収束させるので、前述した硬さのなかに適度な“ゆるさ”を持った心地よい乗り味が得られるのだろう。