左右の重量バランスが異なるクルマでも起こる
じつは左右のタイヤの荷重が違うので、トルクステアが出るクルマもあります。たとえばマツダ・アクセラハイブリッドがそうです。トヨタのプリウス用ハイブリッドシステムにマツダ独自のスカイアクティブGを組み合わせていますが、もともとトヨタのハイブリッドシステムは車両の左側に重量が大きく偏っていて、その特性がそのまま出てしまっているのです。
アクセルを踏めば右方向へトルクステアが出て、ブレーキを踏めば左方向への動きが出てしまいます。ではなぜトヨタのハイブリッド車ではそうしたトルクステアが出ないのか? それはサスペンションのセッティングによって、センター付近が意図的に鈍くなっているためです。トルクステアが出ようとしても、反応が鈍いので、発生しないのです。
ちなみにアクセラハイブリッドですが、マツダ得意のGベクタリングコントロールが例外的に装備されていません。その制御を実現するためのレスポンスや精度を、トヨタのハイブリッドシステムが持っていないためです。
トルクステアは、軽自動車でも出やすい現象です。クルマが軽量で、乗員の体重や荷物の重量の影響を受けやすいからです。そしてFRだと、そもそも後輪の荷重が低いこともあって、荷物や人が偏って乗ったりすると、判りやすいトルクステアが顔を出します。乗員や荷物が偏って乗らないように、配慮する必要があると思います。