保安基準の適合を確認するため車検相当の検査を行う
日産自動車の完成車検査における不正は、その経緯や再発したことなどもあって、国内向けの生産が停止するに至った(現在は国内向けの生産は再開している)。というわけで、この3年間において日産車(他社OEM含む)を製造している国内6工場において作られたクルマのほとんどがリコール対象となった。国土交通省に届出られたリコール内容をあらためて記せば以下のとおり。
<引用開始>
基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因:車両製作工場の完成検査において、任命されていない検査員が合否判定を行ったものがあり、安全環境性能法規(保安基準)に関する検査が適切に行われていなかった。
改善措置の内容:全車両、指定整備工場において自動車検査員による点検を行い、安全環境性能法規(保安基準)に関する不具合が認められた場合は是正する。
<引用終了>
自動車工業による完成車検査というのは保安基準を満たしているかどうかを最終的に確認するものであり、正規の検査員による完成車検査が行なわれていないということは保安基準を満たしていると言えない状態である。
そこで、ディーラー系の認証工場によって有資格者による車検(車両が保安基準を満たしているかどうか)相当の検査を行なうというのがリコール対応の作業となる。そのゆえ「一度でも車検を通っているクルマはリコール対象外となる」わけだ。
一部では品質管理的な部分でのリコールと捉えられている面もあるようだが、クルマに少々のキズがついていても車検を通すことができる(保安基準を満たしている)ように、今回のリコール作業を行なったからといって、新車同様になって戻ってくるという話ではない。タイヤなどの消耗品に関しても基本的にはユーザー負担となることだろう。
なお、今回の件に限らず、道路運送車両法によれば、自動車の所有者は自分の自動車が保安基準に適合するよう点検・整備する義務がある。つまり、保安基準を満たしていないために発生するリコールについては、その内容がどうであれ放置しておくことはできない。