乗ろうとするお客の行動パターンを読んだ運転が大切
6)前方に空車のタクシーがいたら注意
やってはいけない走り方が空車のタクシーの真後ろなどは走らないこと。前方に空車のタクシーがいれば、お客がいたとしても前方のタクシーにお客が乗るだけで効率が悪い。そこで空車のタクシーのすぐ後ろについてしまったら、交差点を曲がって流す道を変えたり、意識して赤信号で停車して、前方の空車タクシーとの間に距離を置くなどの工夫をするようにとされている。
7)道路端で停車するときには斜め気味に停車すること
タクシーの事故で多いのが、お客の乗降でドアを開けたところに、すり抜けのためにきたバイクや自転車がぶつかるというケース。自動ドアは乗客にとっては便利だが、運転手にとっては開閉時にかなり気を使う”難物”ともいえる存在。そのため自転車やバイクのすり抜けを防止するために、タクシーの前方を歩道に向けて斜め気味に停車するように指導されるケースもあるようだ。これは路線バスでもよく行っている光景を目にすることがある。
8)地理不案内な新人のころのトーク術
東京は世界の大都市のなかでもその面積の広さはトップレベルとなっている。それを言い訳にする気はないが、とくに新人のタクシー運転手が東京都内の地理に不案内なのが目だつ。そのような新人のころに、お客と地理不案内によるトラブルを少しでも防ぐためのトークというものがある。
タクシーのボディサイドにはどの地域にある車庫のタクシーなのか表示されている。例えば”板橋”と書かれているタクシーが、千代田区や港区などの都心部でお客から伝えられた目的地がわからないときは、「まことにすいません。いつもは板橋中心に商売をしているので……と、逆に板橋近くでお客を乗せたときに伝えられた目的地がわからない場合には、「まことにすいません。いつもは都心部で商売しているので……」と断りを入れてから、目的地までのルートを聞くようにと教えられているとのこと。
地理不案内で乗客とトラブルになるときは、経路確認もせずに知ったかぶりをしてタクシーを進めて、道に迷った時が多い。開き直りではないが、発車前にお客に断りを入れて、目的地までのルートを聞けば、たいていの場合はトラブルにはならないようだ。
9)完全停車する寸前にはブレーキの踏力を少し抜くこと
このあたりは個々人の判断でその評価は分かれることだが、乗客が不安を覚えるような運転をしないのがプロドライバーの基本。そのなかで一番気を使いたいのが信号などで停止するとき。エンジンブレーキなどを利用して、だんだん減速していき、完全停車する直前にブレーキペダルの踏力を少し弱めることで、”前のめり”を抑制するようなことを、ベテランドライバーから教えられる新人ドライバーもいると聞いたことがある。
タクシーやバスなどの営業運転に必要な二種免許取得時には、乗客に不安感を与えないためにも、制動距離を一般車両の運転時よりも長めにとるようにと教えられることも多いようだ。
10)バス停の前は減速しよう
バス停で路線バスを待っているのに、渋滞などのためになかなか来なかったり、ちょうど発車してしまった直後にバス停についたときなどに、”タクシーに乗ろうかな”と思ったひとも少なくないはず。そのようなニーズをねらう意味もあり、路線バスのバス停前を通過するときには減速するように、ともされているようだ。筆者も何度かこのようなシチュエーションで、タクシーに乗ったことがある。