タクシーならではの運転方法が伝えられる
基本的な部分では一般車両を運転するケースとタクシーを運転することは同じ。ここでは新人運転手講習などで紹介されている、タクシーならではの”流儀”とでもいうべきものの一例を紹介してみよう。
1)空車時に複数車線ある場合は一番左を走行すること
駅のロータリーなどでの“着け待ち“や、無線による配車などもあるが、都市部でのタクシーの営業スタイルはやはり“流し営業”がメインとなる。当然タクシーに乗ろうとするひとは道路端で手を挙げてタクシーに乗ろうとするのだから、空車のときは一番左側を走るのは当たり前といえば当たり前の話。
2)スピードを出しているような印象を与えること
タクシーで移動したいと考えるひとのなかには、”目的地に早く着きたい”というひとも多い。となると、「もっと急げないの!」などと車内で乗客からクレームをつけられることもしばしばある。しかしデジタコ(デジタルタコグラフ)などで、制限速度あるいは規制速度での走行が厳しく管理されている。このようななかで、乗客からのクレームが出そうな雰囲気があったら、オートマチックのオーバードライブをオフにしてエンジン回転数をあげて走行することで、”速度が出ている”ような印象を与えるように教えられているようだ。
3)右折は控えて左折を心がけること
結構な確率でタクシーに乗ろうとするお客に遭遇するのが交差点の角。ただし右折しようとした先にお客がいた場合には、対向車線に空車のタクシーがきて左折されれば、お客を持っていかれてしまう。左折した先にお客がいればほぼ確実にゲットすることができる。そのため街なかを流すときには左折を心がけるように指導されている。
4)信号待ちは先頭を心がけること
一般車両を運転していると、前方の信号が黄色に変わると加速して交差点を抜けようとすることが多いが、タクシーでは黄色になったら減速しそのまま赤になって停車するのが良いとされている。これは先頭で信号待ちをしていると、横断歩道を渡ってきたりしてタクシーの乗ろうとするお客がくる可能性が高いからである。
5)歩行者用信号の動きで速度調整すること
これは、4)と連動するのだが、上手く信号待ちで先頭になるためには、交差する道路の横歩行者用信号の動きにも注目するように教えられている。信号のある交差点を通過するときには、前方の信号に注目するのは当たり前だが、自分の走っている道路に交差する道路にかかる横断歩道を渡るための歩行者用信号が青で点滅していれば、意識して減速することで、前方の信号が赤になったときに、先頭で停車できるというのである。