圧倒的なスタビリティと意のままに操れるハンドリング
先日、SUBARU BRZの兄弟車であるトヨタ86は、ワンランク上のスポーツカーとして86 GRを発表したが、じつはSUBARU BRZにも特別なスポーツモデルSUBARU BRZ STI Sportがスタンバイしていた。
ノーマルのBRZは、年改でF型になりフロント・インストルメントパネル中央部の空調室内ユニット貫通穴の構造補強と、リヤバルクヘッドの板厚アップ(片側4カ所、合計8カ所)というボディ補強が施された。これは、18インチハイパフォーマンスタイヤ(ミシュラン・パイロットスポーツ4)&ホイールをBRZ STI Sportに設定するためだったと想像できる。
サスペンションは、ザックス・ダンパー(ZF製)&コイルスプリングを装着するが、これも18インチに合わせたSTI Sportの専用設計になっている。
これに、STI製フレキシブルVバーや、STI製フレキシブルドロースティフナーフロント(写真はイメージ)を装着することで、シッカリ感のあるサスペンションを、適度にいなすことができ快適性と操縦安定性を高めることに成功している。
このほかに、ブレンボ製ブレーキキットで制動性能の向上。フルフロアアンダーカバーの装着により、フロア下部の整流性能アップが図られている。
今回は、完成したばかりのスバル研究実験センター美深テストコース(北海道)にて、試乗させていただく機会を得たのでいち早くインプレッションをお届けしよう。ただし試乗できたのは、約4㎞のテストコースを2周。途中にハンドリングテストを行うことができるパイロンスラロームがあったのだが、あまりにもキレイな路面だったため、本当に軽いインプレッションであったということを前述しておきたい。
BRZの通常モデルはE型から随分と質感が高められた印象だったのだが、STI Sportはワンランク上を行く仕上がりになっていた。ベースになっているのはGTグレードだが、上記のようなSTIの優れたパーツを装着することで、通常グレードのGTよりもシッカリ感のある手応えと意のままに操れるフィーリングが高められている。
通常モデルのGTが履くタイヤは、215/45R17だが、STI Sportは215/40R18とタイヤ断面の高さは薄くなっていることから乗り心地はシビアな方向になって当たり前なのだが、それを感じさせない快適性を得ることができた。
パイロンスラロームでは、わざとラフにステアリング操作をしてみたが、本当に何も起きない。非常にスタビリティが高いのだ。もともと安定方向のセッティングが特徴のBRZだが、STI Sportはひとつの完成形と言っても過言ではない。おそらくBRZが目指していたひとつの回答がSTI Sportなのだ。
スバルは年改を重ねることで、少しずつクルマの完成度が高められるということは周知の事である。もちろん、まだまだ進化途中のBRZではあるとは思うが、カタログモデルでは史上最高のBRZが完成したといって過言ではない。
●SUBARU BRZ STI Sport
3,531,600円(6速MT)
3,591,000円(6速AT)