インターチェンジやサービスエリアを想定したテストも可能
旭川市と稚内市のほぼ中間に位置する北海道美深町(びふかちょう)。昨年の平均気温5.5度、最低気温はなんとマイナス30.7度という、日本でも屈指の寒さを誇るこの町に、国内最北端の自動車試験場「スバル研究実験センター美深テストコース」がある。
もともとは、SUBARUが1977年から美深町内で冬季試験を実施したのが始まりで、その後、寒冷地における性能評価や雪上試験などを目的とした開発拠点として、1995年に美深町の仁宇布(にうぷ)地区に美深試験場が開設された。これまでは冬季のみの使用だったが、これからの自動運転時代を見据え、同コースがアイサイトや自動運転などの開発に活用されることになり、改修がスタート。2017年11月からの本格運用を前に、報道陣に公開された。
試験場は、全長4.2kmの高速周回路と、市街地路、その他の試験設備で構成。従来から設置されていた高速周回路に、都市間高速道路本線にある「緩やかなカーブ」、インターチェンジやサービスエリアを想定した分合流路、4車線道路を想定した多車線路、北米のフリーウェイを模したコンクリート舗装路が新設されている。写真は、サービスエリアの分合流路。長方形のアスファルト部分が、サービスエリアに該当する場所だ。
また市街地路では、実際の交差点を模したエリアや、欧州に多いラウンドアバウトを再現したエリアを設置。信号は本物と同じように稼働していた。今後は必要に応じて建物などを設置していき、実際の街並みのようにしていくそうだが、見学会に訪れた地元・仁宇布地区の方からは「コンビニを作ってほしい」と言われたとか。リアル“トミカタウン”のようで楽しそうな気もするが、「利用するお客さんがいらっしゃらないので……」と丁重にお断りしました、とのこと。
そのほか敷地内には事務棟があるが、あえて宿泊施設は設けず、スタッフは約1時間掛けて街から毎朝通勤している。当初は宿泊施設を作る考えもあったそうだが、この1時間の通勤においてさまざまな気候、路面状況のなかでクルマを走らせることが、クルマの評価に役立つのだという。往復2時間の通勤が、スバル車にリアルワールドでの安全、安心、愉しさに繋がっているのだ。
今後SUBARUでは、新しいテストコースをフル活用し、2020年に自動車線変更機能、さらに交差点での衝突を防ぐ技術など、自動運転化時代を見据えたアイサイトの進化を加速させていく。目指すのは「自動車事故ゼロ=究極の安全」。さらに自動運転=無人運転ではなく、SUBARUらしく、あくまでもドライバー中心の安心で愉しい自動運転技術を開発していくということ。スバリストも納得の自動運転技術が生まれることに期待したい!