わずかな走行でとれるものの塗布しないほうがいい
洗車のときに、ボディにワックスをかけたら、タイヤにもタイヤワックスを……。そう考える人も多いだろうが、鉄やアルミのボディと違い、ゴム製のタイヤは、水洗いオンリーというのがベスト。タイヤには、ゴムのひび割れを防ぐ老化防止剤がもともと含まれていて、それが徐々に表面に出てくることで、経年変化を防いでいる。
油性のタイヤワックスや洗剤を使うと、その老化防止剤を流れ落としてしまい、ゴムの劣化やひび割れを早める原因となってしまうからだ。したがって、タイヤメーカーでは、基本的にタイヤワックスや洗剤を使うことを勧めてはいない。
どうしても、タイヤをきれいに見せたいという人は、油性ではなく水性のタイヤワックスでタイヤの手入れをするといい。ブリヂストンからも水性のタイヤワックスが発売されているので、これらをサイドウォールに塗布すれば、タイヤの寿命を縮めることなく、保護・艶出しが可能。ただし、水性ワックスでもトレッド面に塗るのはNG。
保護・艶出し効果があるワックスは、滑りもよくなる。それを接地面に塗るのは……。もっとも、新品のタイヤには、製造時に、金型から取り出しやすいよう、薄く離型剤が塗られていると言われているが、こうした離型剤にせよ、タイヤワックスにせよ、タイヤ表面に薄く塗られたものなどは、わずかな走行でとれてしまう。
ゆえに、安全面への影響はごくわずかだともいえるが、逆にいえば、どうせすぐにとれてしまうのなら、わざわざワックスをかける意味などないはずだ。さらに言えば、サイドウォールは丈夫で固いゴムを使っているが、トレッド面は柔らかいゴムを使っているので、老化防止剤の効果が弱まると、より劣化しやすくなる。
タイヤのお手入れは、「水洗いオンリー」というのがタイヤメーカーの基本スタンス。水とブラシで、こまめにほこりや汚れを落とすのが、タイヤのためには一番いい。