販売は個人所有しないリース形態のみ
2017年10月17日、ボルボは、1966年からパートナーシップを結び、これまでハイパフォーマンススポーツモデルをリリースしてきた「ポールスター」を新たなブランドとしてスタートさせることを発表した。
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この新生ポールスターの発表が行われたのは中国の上海。まず会場では新たなロゴが大きく掲示されていた。これまでのポールスターが装着していた四角にPOLESTARの文字が入ったロゴから、星の輝きをイメージしたようなマークが用いられるようになったのだ。
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新しくスタートするポールスターは、Electric Performance Brand(エレクトリック・パフォーマンス・ブランド) だという。つまり車両はすべて電動化されたものとなるのだ。
そして同日、まだ市販版ではないものの、Polestar1(ポールスター・ワン)と名付けられた4シータ−クーペがアンベールされた。このモデルは、フロントにボルボのT6グレードが積む2リッターターボを搭載し、リヤには左右輪にそれぞれに対応する2つのモーターを採用。車体中央とリヤに2つのバッテリーユニットを搭載するプラグイン・ハイブリッドだと見られる。
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プラットフォームはフレキシビリティの高いSPA(SCALABLE PRODUCT ARCHITECTURE)を使用するものの約50%はポールスターの新技術が採用され、ボディはカーボンファイバー製だ。
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満充電からのモーターのみ、EVモードでの航続距離は150kmに達し、ハイブリッドといっても電気自動車色の強いモデルだ。
残念ながら、正確なハイブリッドシステムの内容はわからないものの、発表された4つのドライブモードには、PURE(エコドライブ)/HYBRID(日常使用モード)/SAVE(バッテリー残量をセーブ・充電し後で使用するモード)/AWD(全輪駆動)とあるので、全開時にはフロントをエンジン駆動、リヤをモーター駆動することになるのだろう。いずれにしてもシステム最高出力は600馬力、最大トルクは100N・mと発表されており、相応の動力性能を有することは間違いない。
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これまでのポールスターは、レースに直結したブランドであり、当然市販車にもそういしたイメージが色濃く反映されていた。もちろん電動化ということで、これまでほどの官能的な雰囲気はないかもしれないが、重量物であるバッテリー搭載位置、さらに上ものであるボディがカーボン製であることなどから、重心が低いことが語られており、運動性能を無視した単なるエコモデルではないことは明らかだ。
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またそれは、ダンパーにはオーリンズを選択、そして対向6ポッドのフロントブレーキキャリパーには日本の曙ブレーキが採用されているなど、サプライヤーを見てもスポーティな走りを意識していることがわかる。
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さらに後輪左右モーターによってトルクベクタリングが行われ、コーナリング性能を高めるため、あくまで想像だが、ドライビングテクニックによらず、誰もが走りのパフォーマンスを楽しめる大人のラグジュアリースポーツクーペになるのではないだろうか。
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そして面白いのはポールスターの売り方だ。注文はすべてインターネット経由で受け、リースのような販売方法になるという。クルマを個人で所有するのではなく、3年間乗り、その分の費用を支払い、クルマを返却。返却されたクルマは整備が施され、価格が下げられて再びリースに出されるといった仕組みだ。
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新生ポールスターが、プレミアムブランドであること、Polestar1のハイパフォーマンスぶりを想像するに、所有したいと考える人も多いはずだ。しかし一方でポールスターが電動化車両ブランドとしてスタートしたことを考えると、この販売方法は理に適っているともいえる。当然バッテリーは使用に応じて劣化し、それは航続距離のダウンという形で表れる。それゆえ、かならずメーカーの元へ戻り、整備が施されるこのリースのような販売方法であれば、ユーザーは常に状態のいいバッテリーのクルマに乗れることになり、メリットは大きいといえるだろう。
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さて、ポールスターは中国に新たな工場を建設し、車両の生産を行うという。そんな期待のPolestar1は2019年中頃の導入を予定。生産は、年間500台を予定しているということで、興味のあるユーザーすべてが体感するには少々時間が必要だろうが、待ってでも乗りたいと思わせるに十分な内容である。
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そして続くPolestar2は、2019年末までに生産を開始。こちらはボルボグループ初となる完全なバッテリーEVであり、競合はテスラモデル3が想定される、ミドルクラスのボディだ。
その後に控えるPolestar3は、SUV。Polestar2よりも大型で、パワートレインはバッテリーEVである。ロールーフのデザインが採用される模様で、スタイリッシュなクルマとなるだろう。こちらの登場は2021年を予定している。
さて、ボルボグループが吉利HDとジョイントベンチャーを組み、6.4ユーロ(約844億円:1ユーロ=132円)もの金額をつぎ込んで取り組んでいくポールスター。ネットでの注文、そしてクルマをシェアするという販売方法、すべてが新しいポールスター。
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展開する国に関しては、カナダ、アメリカ、イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、ノルウェー、ドイツ、スウェーデン、中国、そして日本とされている。当然クルマゆえにネットですべて完結というわけにはいかない、それゆえ、テストドライブも含めた場所である「Polestar Space(ポールスター・スペース)」を世界中に展開予定であり、2019年第一四半期には、初のポールスター・スペースがオープンするという。
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まずはPolestar1の登場を楽しみに待ちたい。WEB CARTOPでは、続報が入り次第、情報をお伝えしたいと思う。