【意外と知らない】エンジンの圧縮比って何? (2/2ページ)

技術の向上で圧縮率は低下した

 旧来のディーゼルエンジンというのは、22くらいの圧縮比が標準的でした。当然膨張比も22なのですが、しかしその圧縮比の設定は現代のディーゼルエンジンとはちょっと意味合いが違うんです。

 エンジン始動直後、まだエンジンが冷たいので熱が逃げやすく、自己着火するディーゼルでは燃焼しにくいんです。それで通常の燃焼よりも高い圧縮比で高温高圧にしたいので、22という圧縮比が採用されていたんです。こうしたエンジンでも通常の燃焼ではじつは燃料の噴射タイミングが遅くなっていて、圧縮が少し低くなってから噴射していました。みかけの圧縮比は15から16程度だったのです。

 現代のディーゼルは始動直後の温度管理が高度になったことで、高い圧縮比は必要なくなったのです。圧縮比を低くすることで圧縮工程でのパワーロスとエンジンの強度などを改善することが可能になり、熱効率などは変わらないということになったわけです。

 ところでF1のレギュレーションですが、圧縮比を18以下に制限しています。その圧縮比はNAエンジンでも驚きですが、F1はターボエンジンです。レギュレーションで規制しているということは、それ以上になる技術的可能性があったか、あるいはすでに超えてしまっていたのでしょう。F1には、そうした高度な先進技術を持つエンジンが存在しているというわけです。


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