大型セダンはもちろん重心の高いミニバンにもオススメできる
ヨコハマタイヤが世界に誇るプレミアムコンフォートタイヤ「dB」が進化した。第五世代となる今回のモデルは「ADVAN dB V552」とネーミングされ、ヨコハマタイヤ史上最高の静粛性進化を果たしたとアナウンスされている。dBはその名前の由来とも言える、騒音レベルの低さを謳い文句に人気を博してきているだけに、従来モデル比で32%もの騒音エネルギーの低減を果たしたという新タイヤの出来ばえには注目だ。早速ヨコハマタイヤが茨城県に持つ壮大なテストコースにて試乗してきた。
試乗会場には輸入国産各車に新旧両スペックのdBタイヤを装着した車両が用意され、比較試乗が可能になるよう配慮されている。新型の出来ばえにいかに自信を持っているかの表れだろう。
まずはトヨタ・クラウンアスリートHVに従来モデルを装着した車両でスキッドパッドの定常円旋回テストを行う。走り出しから静かかつスムースな特性でHVモデルに相応しい。円旋回に合わせてステアリングを切り込んで行くと、水の多い部分では4輪が少しスキッドアウト傾向を示すが、ハンドルのキックバックは少なく軽い操舵感覚で転がり抵抗の少ない印象を受けた。もちろん走行ノイズは静かでウエット路面ゆえ、車速をあげてもスキール音は発生しない。
次に新型dBを装着した車両に乗り換える。新型で走り出すと同じ水深の路面のはずなのにグリップ感がまったく異なる。ステアリングフィールは重く感じられ、路面を掴む感触だ。ステアリングを切り始めると手応えのある操舵フィールで、スキッドアウトすることなく正確にライントレースをして円旋回する。これはウエットグリップレベルが相当高くなったことを示している。路面を掴む分、水はけ音などは大きく感じるが、圧倒的なグリップの高さが安心感を高め、同じ車種と思えないほどだ。
この差は、新開発されたコンパウンドゴムの新混合技術A.R.T.mixing技術により、コンパウンド内のシリカがより分散して均一に混ざり、路面をミクロで捉える柔軟性とシリカの水吸着性が引き出された結果だ。シリカ自体も微小化されよりゴムとの結合性が高められている。
次は高速周回路で120km/h程度の速度域での走行音を確認する。車両はメルセデス・ベンツEクラスとミニバンのトヨタ・ヴェルファイアHV、そしてトヨタの新型カムリにレクサスLSである。
まずEクラスで走行。風切り音が異常に気になるほどタイヤまわりは逆に静かで、dBブランドが支持される静粛性を再確認した。さらに160km/hまで車速を上げても、走行音に大きな差異は聞き取れない。
次にミニバンであるヴェルファイアに試乗。dBは本来プレミアムセグメントのセダン向けタイヤとして開発され、投入されてきたが、自動車マーケットの販売台数推移をみるとセダン全体としては縮小傾向にある。プレミアムセダンクラスだけに特化してみれば販売台数の伸びが確認され、新型dB投入の理由にもなっているわけだが、一方でミニバンのマーケットの伸びも無視できない。
dBはしかし、高速性能にも耐えるよう高剛性なケーシングとサイドウォールを持たされており、それが結果として重心の高いモデルの走行安定性にも寄与することがわかり、アルファードのようなプレミアムクラスのミニバンにも装着が推奨されるようになったのだ。
実際に新型dBのNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)性能は素晴らしく、車体が共振しやすいミニバンのアルファードに装着しても、高速域まで静かなキャビンを維持できていた。これで運転席と後席間の会話もスムースになると感じられるほどで、騒音エネルギー32%低減の効果を実感した。
ロードノイズ低減技術はトレッドパターンの精密なデザインと芸術的な造形がなせる技で、インサイドとアウトサイドで異なる非対称トレッドパターンとしている。接地圧の高いインサイドはストレードリブ&グルーブを中心としたパターンデザインを採用。
アウトサイドにはサイピングの角度や太さに変化を与え、音の流れにも着目してあらゆる周波数域において改善を果たした成果だ。
タイヤの断面形状であるプロファイルや接地面形状も理想的な形となり、結果、操縦安定性、ウエットグリップ、ロードノイズなど目指すべき全性能の方向性において確実なる進化を果たしていた。
静かさ世界一の異名を取るレクサスLSではより静かに、しかしグリップ感の高い安定性と安心感を提供し、新型カムリでは新世代プラットフォームのTNGAシャシーへの高い適合性を示している。
ヨコハマタイヤは今年創立100周年を迎えた。新型dB V522の実力はその時代の節目を飾るに相応しいレベルの高いものだった。
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