事業者によっては事故=退職ということも
1年365日街なかを走っているのがタクシー。それだけに、確率からいっても事故に遭遇する機会は多い。そしてタクシー事業者の経営を悩ますのが事故である。
あくまで一般論であるが、タクシーの事故では実車中(お客を乗せて走っている)よりは、空車のときのほうが多いと聞く。見ず知らずの第三者を仕事のために乗せて走るという行為は、想像している以上に緊張することである。そのため、お客を降ろしてメーターを空車に戻して、緊張がほぐれた瞬間や空車走行で漫然と運転しているときなどに事故が多く発生するようだ。
新人のうちはガチガチに緊張するのは当たり前ともいえるが、たとえベテランといえども、レベルは違えどやはり緊張してお客を乗せていることには変わりないのである。
タクシーの事故によるペナルティは、運転手個人よりも事業者に対するもののほうが厳しいものとなる。運転手については、事業者によっては「事故=退職」という厳しいところもあれば、物損についてはとくにペナルティがないなど、かなり対応はバラバラになっている。
ただ、事故が多ければ当然各事業所内で設定される運転手のリーダー格にはなかなかなれなくなる。リーダー格になれば、事業者からもより優良顧客の多いタクシー乗り場(東京なら羽田空港や大手高層インテリジェントビルなどのタクシー乗り場)や、優良顧客担当(テレビ局員の自宅への送迎など)などへ抜擢されるので、安定した収入が約束されるのである。