ドライ路の運動性は高くないが突然の降雪程度なら対応できる
今年もアッという間に、来たる冬に備えてタイヤの履き替えを検討する季節がやってきた。九州南部や四国、近畿地方の南部など、以前はほとんど雪が降らなかった地域では「通年夏タイヤでOK」なので、冬タイヤのことを考える機会は少なかったと思うが、最近は異常気象続きで沖縄を除く広い地域で積雪を記録する可能性が高くなっているため、南国在住の人も冬タイヤへの履き替えについて検討するべき時代にあるといえる。
とはいえ、それでも降雪地域以外で暮らす人にとって、本当に降るのかどうかわからない雪のためにスタッドレスタイヤを購入するのは躊躇してしまうものだろう。
そこで今回は、通年履きっぱなしでも大丈夫なタイヤのひとつとして知られる「マッド&スノータイヤ」のメリットとデメリットを挙げてみたい。
「マッド&スノータイヤ」は「M+S」と表記されるヘビーデューティ系本格派SUV向けのタイヤで、その名の通り雪と泥にも対応する性能を備えたタイヤのことだ。ブロックが大きくて柔らかいので、雪や土、泥の上でもある程度のグリップ力を発揮する。
本格的なオフロード専用タイヤと比較すると、雪や泥でのグリップ力は遠く及ばず、あくまでエマージェンシー性能として認識すべきだが、アスファルト路面でのグリップ力や静粛性は本格的なオフロード専用タイヤに勝る。勘違いしてはいけないのは、スタッドレスタイヤとはまったく異なるタイヤであるということ。雪上グリップは得られても、凍結路や氷上のグリップ性能はあまり期待できないから注意が必要だ。
それでもしっかりした四輪駆動システムを備えるSUVに履かせるなら、シーズンに1-2回の積雪には難なく対応できることが期待できる。