ドライ路での操安性に重きを置いていなければ通年使用もアリ
「マッド&スノータイヤ」は、ドライ路でのグリップ力や転がり抵抗もあまり期待できないタイヤだが、重量級のアメリカンSUVなど、そもそもドライ路でのコーナリング限界性能や燃費を重視しないタイプのクルマには適しているので、そういうクルマなら通年履き続けるのもアリだ。路面との接地感が希薄になるというデメリットもあるので、キビキビとした挙動や、確かなステアリングフィールを伴った走行感覚を重視するドライバーには向かない。
ちなみに、スタッドレスタイヤ以外で雪上走行に対応するタイヤは、最近になってサイド部分にスノーフレームマークという雪印のようなマークが刻印されるようになったので判別しやすくなっている。
スタッドレスタイヤも大手メーカーの主力商品は年々夏タイヤに迫るドライ・ウエットグリップ、耐摩耗性を備えるようになった。自然吸気(NA)2リッター程度のエンジン出力の実用車なら、通年履き続けることも現実的といえる。もちろん、ドライ・ウエット共に絶対的なグリップは夏タイヤより若干落ちるので、常にそれを念頭に置いた慎重な運転を心がけることが求められるが、そういう意識が安全運転につながる効果もある見逃せない。
筆者は3年前、愛車の先代型スバル・インプレッサG4 1.6i(5速MT)でダンロップの旧ウインターマックス1を真夏の炎天下も含めて通年履き続け、約2万3000km走ったが、純正装着タイヤとさほど変わらない感覚で乗り続けることができた。大手タイヤメーカー(日欧米)の最新スタッドレスタイヤなら、概ねどれも同様の感覚で乗ることができるはずだ。
高性能スポーツモデルではまだまだ難しく、決して推奨するわけではないが、大衆車クラスの実用グレードならスタッドレスタイヤを通年履き続けることも現実的となった。
スタッドレスと夏タイヤの性能差はどんどん縮まってきているので、スポーツ系のハイグリップタイヤを必要とするスポーツモデル以外は、やがてスタッドレスタイヤのみで通年を過ごせるようになるのかもしれない。