11月には実物のトロフィーが初めて日本にやってくる
5月の第101回インディアナポリス500で優勝した佐藤琢磨の顔をボルグワーナー・トロフィーに刻む作業が着々と進行中だ。
時価3億円超といわれる銀製のトロフィーには、1936年にこのトロフィーが誕生してからの優勝者24名とインディアナポリス・モータースピードウェイのコース・オーナーだったトニー・ハルマンの顔が立体的な彫刻となって付いている。ここに琢磨の顔も加わろうというのだ。
9月5日、琢磨はノース・カロライナ州の美しく小さな町、トライオンのスタジオを訪れた。
待っていたのは完成間近の原寸大の琢磨の肖像。地元の彫刻家、ウイリアム・ベーレンズ氏はインディ500の翌日に撮影された20枚の写真を元に既に制作を進めていたのだ。
この日は本人をモデルに最後の仕上げが行われた。ベーレンズ氏はこれまで90年以降のインディ500優勝者の顔を作り続けている。
「しわの一本一本に至るまで本当によく出来ていますね」と喜ぶ琢磨。
「インディ500でチェッカーを受けた後の数日はローラー・コースターに乗っているような忙しさでした。そして、今も、これからもまだイベントは続きます。インディ500のトラディションを感じますね。このボルグ・ワーナー・トロフィーはこれまで一度もアメリカ国外に出ていないと聞きます。それが11月の末に日本にやって来るのです。ホンダ・サンクス・デーに合わせて日本のファンの皆さんに公開される予定です。これはとても名誉なことだと感じます。是非、僕の顔がどこにあるのか探してください」
年末を心待ちにしている琢磨だった。