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【試乗】「GRスポーツ」「GR」「GRMN」は何が違う? 3種が揃うヴィッツで確認

【試乗】「GRスポーツ」「GR」「GRMN」は何が違う? 3種が揃うヴィッツで確認

コンセプトが明確で希望する走りの方向性で選べる

 GRブランドはピラミッドになっており3つのモデルが存在する。まずは旧G’sが細分化され「GR」と「GRスポーツ」に枝分かれした。GRスポーツは、スポーツ入門編ともいえる一番ライトな内容。GRは操る喜びを日常的に実感できる「量産型スポーツモデル」で、ドライブトレイン+ボディ/シャシー+専用デザインがプラスされる。そしてその頂点は「究極のスポーツモデル」で台数限定生産、パワートレインを含めて車両全体でこだわりのチューニングが実施される「GRMN」。

 今回は、その3モデルが存在するヴィッツに試乗し、違いを明らかにしたい。まずヴィッツGRMNプロトタイプの最大の特徴はパワートレインで、210馬力を発生する1.8リッター(2ZR-FE)+スーパーチャージャー仕様に6速MTの組み合わせ。じつはロータス・エリーゼに搭載のユニットを応用しているが、吸排気系や制御系はヴィッツGRMN専用に開発されている。

 シャシー系は剛性に有利な3ドアをベースに、フロントタワーバーやフロントサスペンションメンバーブレース、センターブレース、リアブレースをプラス。サスペンションは専用セットのZFザックス製ダンパーやトルセンLSDを採用。タイヤはBBS鍛造アルミホイール+205/40R17のポテンザRE050A、ブレーキはコンチネンタル製でアドヴィクス製の4ポッド対向キャリパーの組み合わせだ。

 エクステリアはGRブランドのアイコン「ファンクショナル・マトリックス・グリル」を採用したフロントバンパー、リアデュフューザー付きのリアバンパー、大型リアウイング、センターエキゾーストを採用。インテリアは専用の小径スポーツステアリングとアドヴィクス製のスポーツシート、更に260km/hスケールの専用メーターを奢る。

 正直言うと、ヴィッツに210馬力は「エンジンを持て余すのでは?」と思っていたが、その走りはじゃじゃ馬ではなく調教されたサラブレッド。FFとは思えないトラクションの高さとアンダー知らずのハンドリングで、パワーとシャシーのバランスは完璧。欧州ホットハッチとガチンコ勝負が可能だと感じたのはもちろん、ヴィッツの素性の良さを再確認。

  

 そしてチューニング度合いで中間に位置するヴィッツGRは5ドアボディを採用。エクステリアはGRMN同様にGRブランドのアイコン採用の専用フロントバンパーだが、フロントグリルはGR専用の漆黒メッキ仕様。リヤバンパーはGRMNと共通イメージだが意匠は若干異なる。

 インテリアは専用の小径ステアリング、スポーツシート、シフトノブに加え、センターにタコメーターをレイアウトする専用メーター(じつはヴィッツのGRシリーズ唯一)を採用。

 車体はベース車に対しスポット溶接プラスとフロントサスペンションメンバーブレース、センターブレース、リアブレースなど採用。

 サスペンションはローダウン(フロント-10mm、リヤ-10mm)に加えて、GRMNに譲りのZFザックス製ショックアブソーバー(もちろんGR専用チューン)、EPS特性のチューニングや205/45R17サイズのポテンザRE050Aの採用、さらに前後バンパーの左右内側に採用のアルミテープも装着。

 エンジン(1.5リッター自然吸気)に変更はなく、トランスミッションは5速MTとCVTが選択可能だが、CVTは全日本ラリー参戦のノウハウや知見が織り込まれ、スポーツモード時にハイギヤへの変速を制限する制御やレスポンスの向上、更に10速シーケンシャルモードも設定されており、「CVTでも気持ちいい走り」、「ドライバーの意思に沿った走り」を追求。

 GRは旧G’s時代もハンドリングバランスのいいモデルだったが、ハンドリングの正確さと安心感がアップされ、欧州車のような「奥深い乗り味」が実現されている。また、ラバーバンドフィールが抑えられ、ドライバーの意思にも沿うようになってくれたCVT制御は、むしろ5速MTよりも積極的に選択したいと思わせる魅力がプラスされていた。

 そしてもっともライトなチューニングが施されるGRスポーツはスポーツモデル入門編と言う立ち位置の「拡販スポーツモデル」として、ボディ/シャシー+専用デザインと、キモとなる部分をメインに手が加えられる。

 エクステリアはGRと同じ前後バンパーを装着するが、フロントグリルはGRスポーツ専用のスモークメッキ仕様。インテリアは専用スポーツシート、シフトノブが採用されるが、ステアリングやメーター、ペダルなどはノーマルに準ずる。ただし、ステアリングはシルバーステッチ仕様で他のGRシリーズと共通のイメージをプラス。

 走りはベース車に対しスポット溶接をプラスするがブレース類は装着されず。サスペンションもGRスポーツ専用チューンだが車高とタイヤはノーマルから変更なし。そういう意味では、最小限の変更で最大限の効果を生むチューニングだ。パワートレインは「より多くの人に」という想いから、1.5リッター自然吸気に加えハイブリッドも用意される。

 ダイレクトな動きや一体感のある走りなど、GRシリーズ共通の乗り味だが、GRシリーズの中で走りと快適性は最もバランスされており、ファミリーユースで使っても全然問題ないと思う。いや、むしろノーマルのヴィッツの走りもすべてこうであって欲しい。

 このようもGRブランドは3つのモデルで構成されるが、「すべてのモデルがこの通りか?」と言うと、旧G’sからアップデートされたモデルや各モデルでモディファイ項目のルールが異なる(GRスポーツは持込登録車と型式指定車が混在)など、我々自動車メディアでも非常にわかりにくいのも事実だ。現状が過渡期である事もよく解るが、GRブランドを広めていくためにも、できるだけ早いタイミングで統一すべきだと思う。

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