会場にはファンが色々な楽しみ方が出来る体験企画もいっぱい!
日本とは思えない総競技距離200kmにも広大なスペシャルステージで争われるのが「ラリー北海道」だ。しかも全日本ラリー選手権(JRC)に加え、FIA管轄のアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)も併催される仕掛けの大きなラリー競技である。2017年9月15〜17日の3日間に渡り帯広と十勝の雄大なロケーションのなか、JRC参加車両42台とAPRC参加車両24台の66台でラリー北海道が開催された。
注目のラリーの結果は全日本ラリーの最高峰クラスであるJN-6ではSUBARU WRX STiが1〜3位の表彰台を独占。優勝は新井敏弘/田中直哉組、シリーズランキングトップの勝田範彦/石田裕一組が2位、3位にはパンクでタイムロスした鎌田卓麻/市野諮組が入った。アジア・パシフィックラリー選手権では、ゼッケン1を付けるG・ジル/S・プレボ組のRC2/R5規定のSKODA FABIA RSが優勝、2位にはR・ブロンバーグ/L・アンダーソン組が入った。こちらは日本初上陸となったRC2/AP4規定の三菱MIRAGE だった(詳細は別のレポートを参照のこと)。
帯広市の北愛国交流広場は「北愛国サービスパーク」となり各チームのサービスエリアが設けられるほか、ここにはラリー北海道のオフィシャルスポンサーとなっているWURTH、RECARO、GAZOO、Sammy、SUBARUなどの出展社がそれぞれ趣向を凝らした楽しい企画が催されていた。なかでも興味深かった企画をいくつか紹介したい。
ラリー現場でのメカニックからの人気商品は作業用手袋などで、次から次からに売れていた。「ラリーは自動車競技の中でもタフな競技。ダメージを受けたクルマをサービスパークで素早く直すには、しっかりとした工具や商品が必要。だからこそチームと密着したサービスが必要ですし、商品を提供できる」とWURTHジャパンビジネスデベロップメント・マネージャーのフィーツェック・クリスティアン氏。一般の来場者にも実演などでWURTHのケミカル用品の実力を知ってもらう試みなども行なっていた。
TOYOTA GAZOO RACING PARKはじつにさまざまなアプローチで、このサービスパークを盛り上げていた。プロインストラクターのレクチャーで運転スキルを上げられるフルブレーキとスラロームが体験できるコーナー、実際のラリーのように二人で本格的なラリー体験ができる体験コーナー、小さな子供でも楽しめるタイヤのフリースローやタイヤボウリングコーナーは人気だった。
そして驚かされたのはリポーターが陸別のスペシャルステージのコース脇で取材していたときのことだ。突如としてカメラを持った女性の団体がそのコーナーにゾロゾロと大挙として現れた。彼女達の手には一眼レフやミラーレスなどの本格的なカメラが携えられている。
そう、これはGAZOO RACING WOMENとカメラガールズの合同企画。レースやラリーとはほど遠い女性たちでも、カメラが好きなカメラ ガールズならいろいろな被写体に興味があるはず、ということで昨年から企画されている試み。今回はラリー北海道の観戦と帯広の魅力的なスポットを巡る撮影ツアーで、北海道初ということもあり特別に無料での開催となった。総勢19人で目前を猛烈なスピードで走り去るラリーカーのアングルや流し撮りを模索しながら撮影していた。
そして最後は、全日本ラリー選手権でJN-6クラスシリーズ1位となっている勝田範彦/石田裕一組、皆さんご存じの「世界の新井」こと新井敏弘/田中直哉組、前戦の洞爺湖で優勝した地元北海道の鎌田卓麻/市野諮組などが駆るSUBARU WRX STiを推すSUBARUブース。こちらはスバコミというスバルファンのコミュニティをSNSで展開し、そのファンの集まりをレースやラリーの現場で実際に闘うSUBARUを見てもらい臨場感を感じてもらおうという企画だ。
今回は、今年からプロジェクトリーダーに任命された井元貴幸さんと陸別と北愛国サービスパークの2カ所で見学ツアーが企画されていた。しかもWRX STiの商品企画主査を務めている嶋村誠氏も同行するという豪華ツアー。
これまでも鈴鹿1000kmレースなどでも開催してきたが、やはりラリーファンが多いというスバコミだけに中味の濃さが期待される。今回は各ブースに用意された巨大フラッグにSUBARU選手へ送る応援メッセージを書く企画をはじめ、北愛国には新井選手の最新WRXのラリーカー(今回初お目見え!)と鎌田選手のダートトライアルカーの展示も行っていた。
スバリスト、スバオタ、スビーなどスバルファンの呼称は多いだけに、元々スバルという会社とファンとの関係は深くて近い。その関係性をさらに緊密にしようという試みは興味深い。実際、ツアーに参加した26人の人たちのなかにはスバルオーナーもいればそうでない人もいるが、やはり「ラリーに強いSUBARUが好き」という人が多かったのは印象的だった。
ラリー北海道の結果的にも、SUBARUが1−2−3位の表彰台を独占するという願ってもない展開だっただけに参加された皆さんも大いに喜んだ様子だった。レースに比べて山の中などでの開催が多い競技だけに観戦者もまだまだだが、ここに紹介した試みだけでなくオーガナイザー含めて趣向を凝らしている。ただ、競技車両は普段街中でも目にするクルマが走っているだけに一度ラリー観戦を体験すれば間違いなく親近感が沸く競技である。
近い将来、トヨタが参戦している世界ラリー選手権であるWRCが日本でも開催かという動きもあるだけに、ラリー競技にも注目して行きたい。