TNGAに基づく新型プラットフォームとして、新型カムリで初投入となる「Kプラットフォーム」。今後、ミドル〜アッパーミドルクラスのトヨタ車のプラットフォームとして使われることもあって、ボディ&シャシーとしての基本性能を徹底的に追求。そのうえで、カムリのコンセプトに合わせて各部がチューニングされている。
「セダンの復権」を掲げるカムリは、「理屈抜きのかっこよさ」と「意のままの走り・上質な乗り味」の実現がコンセプト。そのためには、スタイリッシュなボディと運動性能に優れるシャシーが必要だ。
そこで、高い運動性能を発揮する高剛性ボディにパワートレインやドライバーの着座位置を低い位置に配置する「低重心パッケージ」を採用。ハイブリッドバッテリーはリヤシート下に、補機バッテリーはトランク下に配置することで、低重心化と重量配分の適正化を図っている。
ボディは新設計ということで、必要な強度の部材を適材適所に配置することで、軽量化しながら高剛性化を実現している。ホットスタンプ材や1180Mpa級の高張力鋼板の使用部位を従来モデルより大幅に拡大。とくに、操縦安定性に影響する「ボディのねじれ」を抑制するために、サスタワーバーの採用に加え、サイドメンバー、リヤトランクスルー部に環状骨格構造を採用しているのが特徴だ。
フロントサイドメンバーにはアウトリガーを加え、またサスタワー部にはブレースを設定するなど、ボディのねじれを抑え、サスペンションの追従性を高めている。従来の一般的なボディ接合方法であるスポット溶接に加え、よりピッチ(間隔)を短くできるレーザースクリューウェルディングや、構造用接着剤の使用部位を拡大するなど、製造方法の変更によるボディ剛性アップ効果も大きい。
ボディ設計では、カムリは上級セダンということもあり、静粛性や遮音性といった質的快適性の追求も徹底している。ペダルまわりの吸音・防振材は板厚や目付を見直し、また周辺部品とのクリアランスを詰めることで遮音性や吸音性を高めた。また、ボディはフロアのフラット化を含め、エアロダイナミクスを追求。フロントバンパー内に自動開閉式シャッターを設け、エンジンの冷却が不要なときは走行風を極力取り込まないようにすることで、空力性能を高めている。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リヤがダブルウイッシュボーンとなる。フロントはボンネット高の低いスタイリングに合わせて、サスペンション自体の高さを抑えた新設計のもの。キングピン軸の傾斜角や、ロアアームの水平によりジオメトリーを最適化、さらにマウント方法やコイルスプリングの形状、ロアアームの配置、ブッシュの硬度やサイズなども、カムリに合わせた専用設計だ。
ダンパーやスタビライザーなどでストローク時のフリクションを低減させることで、操縦性だけでなく乗り味(走りの質感)も向上させている。リヤサスは、基本的な形状は現行のプリウスに近いものだが、ロアアームの配置やスタビライザーのレイアウト(固定方法)、ダンパーの取り付け角度などを最適化。加速/減速時の挙動安定性を高めつつ、上質で快適な乗り心地を実現している。
こうしたシャシーレイアウトの最適化やボディの高剛性化、サスペンションの性能アップは、ドライバーが快適に運転するためのもの。新型プラットフォームではドライバー主体のパッケージングのため、運転席の着座位置を低く、後方にレイアウトし、ペダルやステアリングなどの操作系を理想的な位置に設置する。まさにカムリもドライバー優先設計のパッケージングとなっているのだ。