正式発表されたCX-8の発売は12月14日
4月28日の2017年3月期決算発表会で予告され、以後ティザーキャンペーンも展開されていた、3列シートを持つマツダの新たなる国内最上級SUV「CX-8」が、ついに正式発表された。
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3列6or7人乗りを可能にしつつ、“魂動(こどう)”をデザインテーマとするマツダのクロスオーバーSUVらしいスタイルと、日本の道路・駐車環境に適したサイズを兼ね備えるため、全長×全幅×全高を4900×1840×1730mm、ホイールベースを2930mmに設定。
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時を経てもユーザーの感性を刺激し続ける先進性を目指す「TIMELESS EDGY(タイムレス エッジー)」をコンセプトに、内外装は風格や質感にこだわり、インテリアも色や素材の一つひとつにまで吟味を重ねたという。
実際にその内外装を見ると、5m弱の全長を活かした伸びやかなプロポーションと、後ろの席へ行くほどにフロアおよび座面が上がるコマンドポジションが、モダンかつ上質なデザインの中に構築されているのがわかる。
だが、そのフロントマスクはグリルがメッシュ状から横格子、運転席まわりはセンターコンソールの外側をメッキモールがラウンドする以外は、新型CX-5に酷似している。開発陣に確認したところ、実際にフロントセクションとインパネなどは、CX-5とほぼ同じものがCX-8にも使用されているとのこと。
CX-5とボディサイズを比較すると、CX-5の全長×全幅×全高は4545×1840×1690mm、ホイールベースは2700mm。CX-8に対し全高は355mm、全高は40mm、ホイールベースは230mm短いが、全幅はまったく同じ1840mmとなっている。
ただしフロント:ストラット式、リヤ:マルチリンク式のサスペンションは、全長×全幅×全高は5065×1969×1753mmとCX-8より一回り大きいながら、ホイールベースはCX-8と同じ2930mmの、北米市場で販売されているラージサイズクロスオーバーSUV「CX-9」と基本構造を同じくしている。
そのうえで減衰力などをCX-8専用にチューニングし、さらにリバウンドスプリングをフロントダンパーに採用することで、コーナリング時の安定性が高められている。 このように、CX-5とCX-9のいいところ取りをしたような基本設計を持つCX-8だが、開発時にもっとも重要視されたのは、「3列すべての乗員が上質さと心地良さを感じられる」パッケージングだ。
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具体的には、1列目が「小柄~大柄まで誰もが適正なドライビングポジションを取れる空間」、2列目が「大柄な大人がゆったりくつろげる空間」、3列目が「170cm程度の大人が不快なく短/中距離移動できる空間」が構築された。
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このうち、前後120mmのロングスライド機構を備えた2列目シートは3タイプが用意され、最上級グレード「XD Lパッケージ」には、大型コンソールボックスを持つキャプテン(左右独立式)シートを標準装備。ベーシックグレード「XD」および中間グレード「XDプロアクティブ」では、センター側アームレストを装着してセンターウォークスルーを可能にしたキャプテンシートと、背もたれを倒せばフラットな荷室を確保でき7人乗りにも対応するベンチシートが選択できる。
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ラゲッジルームは、3列とも使用している時でもA型ベビーカーを、3列目を倒した際は67型スーツケース3個を積載できる広さを確保。2列目も倒せばマウンテンバイク2台を収納することも可能だ。 CX-8に用意されるパワートレインは、CX-5にも設定されている2.2L直4直噴ディーゼルエンジン「スカイアクティブ-D 2.2」と6速AT「スカイアクティブ-ドライブ」のみ。
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だが、CX-5に対し約200kg増加した車重に対応するため、「スカイアクティブ-D 2.2」には、少量の燃料を多段かつ高圧で微細分霧化して噴射する「急速多段燃焼」という新たな燃焼コンセプトが採り入れられた。 さらに、可変ジオメトリーターボチャージャー、超高応答インジェクター、段付きエッグシェイプピストン、冷却水制御バルブ、デュアルテンショナー式オイルポンプチェーンシステムを採用。
CX-5用に対し最高出力を15馬力アップの190馬力、最大トルクを3.1kg-mアップの45.9kg-mにまで高めつつ、JC08モード燃費17.6km/L(4WD車は17.0km/L)、新基準のWLTCモード燃費では15.8km/L(4WD車は15.4km/L)を確保している。
予防安全装備としては、8月24日に一部改良されたアクセラに続き、「360°ビューモニター」を設定。前後左右の広角カメラで自車の周囲を俯瞰したような画面が見られるだけではなく、いずれか一方向を表示する画面ではレンズ歪みを補正して表示することで、遠近感を掴みやすくしている。
また、歩行者との衝突時にボンネット後端を約100mm持ち上げる「アクティブボンネット」を全車標準装備した。 価格は319万6800~419万400円で、予約受注は9月14日から、販売は12月14日から開始される。
CX-5とCX-9、そしてミニバンとクロスオーバーSUVのいいところ取りをして生まれたCX-8は、果たしてマツダの狙い通り、プレマシーやビアンテといったミニバンの後継車として、日本のユーザー、そしてマツダファンに広く受け入れられるだろうか? その可能性は、充分に高いと言っていいだろう。