ポルシェ911(964)がティプトロニックを採用!
ロックアップ機構というのは、そのトルコンを機械的に固定してしまって、油圧を介さずにダイレクトにエンジンの力をトランスミッションへ伝えるためのメカニズムです。具体的にはトルコンの外周部分にクラッチを装着し、入力側と出力側のカップリングを固定することを可能とし、それを電子制御によって作動させるというシンプルな機構です。トルコンがキャンセルされることで、トルクの増幅はありませんが、その代わりにエンジンのフィーリングがダイレクトに伝わり、ドライバーはそれを楽しむことができるようになります。
こうしたコンセプトを最初に生み出したのは、ポルシェ911(964)のティプトロニックと呼ばれた4速ATです。可能な限りトルコンをロックアップさせることで、ダイレクトなフィーリングを得ることができました。
その背景にあったのは、軽量なボディに3.6リッターエンジンの強大なトルクの組み合わせです。低回転域でのトルクが確保できるからこそ、ロックアップ領域を大幅に拡大することが可能になるわけです。