カスタムターボは軽の枠を超えた走りと上質さ
一方、ハイエンドグレードのカスタムターボはラインアップで唯一、15インチタイヤを装着。じつは、標準車のターボモデルとの走りに関する大きな差はそこがほとんど。では、走ってみるとどう違うのか? 絶対的動力性能こそ違いはないのだが、しかし走りの質感は別物と言っていい。
前後スタビライザーの採用は標準車同様だが、タイヤのランクアップによって動的性能の上級感はさらに高まる。走りのすっきり感、カーブ、山道でスムースなステアリングを切った時のグイグイと曲がる回頭感の良さ、痛快さ、リヤがビシリと踏ん張るさらなる安定感の高さで上まわるあたりは15インチタイヤの恩恵だ。コーナリング時のステアリング操作にVSA(車両挙動安定化制御システム)を連動させ、自動的に内側片輪にブレーキを軽くかけ、旋回をアシストし安定させるアジャイルハンドリングアシストという超上級機能も備わり、カーブでの前後バランス、曲りやすさ、安定性は鉄壁。つづら折りの道では一般的なコンパクトカーと競っても負けないかもしれない。
当然、乗り心地はラインアップ中、もっとも硬めだが、むしろ走りの重厚感、上級感に直結。先代のカスタムターボと比べ、段差、マンホール越えでのショックの角も丸められ、荒れた路面でのビリビリした振動も皆無に近い。ちょっぴりスポーティであっても、下手なコンパクトカーを上まわる快適・上質な乗り味を示してくれるのだから恐れ入る(全車、サスペンションのバネレートを25%落とし、大型ブッシュ採用で快適方向に振り、前後スタビライザーで安定感を担保している)。
だからハイペースで気持ち良く走っていると、もはや軽自動車感ゼロ! 動力性能、装備の充実度とともにまさにクラスレスである。それが4人、フル乗車でも保たれるのだからたいしたものだ。一家に一台のファーストカーとして十二分に使え、活躍してくれるに違いない。
そうそう、新型N-BOXの”上級機能”自慢のひとつが、新型で全グレードに標準装備されるホンダセンシング。なにしろ、後方誤発進抑制機能、オートハイビームを加えた、現時点でフリードより新しく充実した先進安全運転支援機能なのである。そんなN-BOXカスタムをボクは、軽自動車の域を超えた、ダウンサイザーをもしっかり満足させる「小さな上級車」と勝手に呼んでます……。
ただ、価格も上級。N-BOXカスタムターボは194.94万円! これは1.5リッターエンジンを積むコンパクトミニバン、フリードGの198万円に匹敵する。