片手運転は控えて正しいポジションで運転するのが肝要
ハンドルのような円形のものを回す場合、その円の直径=円の中心を通る円の両端を握れば、もっとも力まず回すことができる。力めばハンドル操作の正確度は当然低下するので、ハンドルはオーソドックスに、9時15分の位置を両手で握るのが基準になる。
運転中、目の前でアクシデントが起こり、とっさに回避する必要が生じたとき、頼りになるのはブレーキとハンドル。フルブレーキだけでは間に合わないときは、ハンドルさばきで避けるしかない。そうなったとき、片手運転だったか両手運転だったかで、ハンドルさばきにコンマ数秒の違いが生じたら、そこが運命の分かれ道になる可能性は大いにある。
また、いわゆる「ヤンポジ(ヤンキー・ポジション)」に代表される、だらしない格好の片手運転の場合、必ずといっていいほど身体がねじれる。一見楽ちんに見えても、体幹部がねじれた状態で、上下の振動、前後左右の加速Gを受け止めるのは、身体に対するストレス以外の何物でもないし、呼吸だって必然的に浅くなるのでいいことなし。
クルマからのインフォメーションも正しくキャッチできるわけがない……。そこまでだらしないドラポジでないとしても、片手運転を進んで実践している人たちのポジションは、ハンドルまでの距離が遠い傾向が見られる。
ハンドルまでの距離が遠いのも、いざというとき反応が遅くなる要素。F1マシンからスポーツカーまで、近年パドルシフトを積極的に採用してきたのは、シフト操作中も両手運転ができるというメリットもじつは大きい。極限状態、あるいは緊急事態というのは、市販車でもレーシングカーでも変わりがないわけで、そう考えると、運転中に片手を遊ばせておく、積極的理由はまるで見当たらない……。
したがって、ルール云々は別としても、不必要な片手運転は極力控えて、目的地までは正しいドライビングポジションで、運転に集中するというのが、賢いドライバーだといえるだろう。